Yearly Archives: 2018

5月25日の金曜上映会〈YIDFF 2017 アンコール6:レバノン、そこにとどまる人々〉

5月25日[金]〈YIDFF 2017 アンコール6:レバノン、そこにとどまる人々〉

2017年の山形映画祭で上映されたコンペ部門の作品から選りすぐりのものを上映する金曜上映会アンコールシリーズ第6弾! 今回はアジア千波万波の上映作品から、エリアーン・ラヘブ監督の『そこにとどまる人々』と『されど、レバノン』を上映します。

『そこにとどまる人々』 14:00- 19:00-(2回上映)

『そこにとどまる人々』

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017 アジア千波万波 上映作品

監督:エリアーン・ラヘブ/レバノン、アラブ首長国連邦/2016/95分

作品紹介:

シリアとの国境に近いレバノン北部。長く続く宗派間紛争やシリアでの戦闘により農地は放置され、かつては異教徒が隣り合わせで暮らしていた村にも排他的な空気が覆う。ハイカルおじさんはりんごや羊を育て、石を一つひとつ積み上げては、別れた妻や子どもたちがいずれ帰ってくるための家を建て、食堂を切り盛りするルワイダと、いつも通りの日常を送る。この土地に居続ける行為そのものが、まるで使命であるかのように。

 

『そこにとどまる人々』

 

監督のことば:

ハイカルの物語が現在の政治において重要なのは、その名が示すように、彼が地理や宗派が交叉する地域(シーア派が開拓したヘルメルと、スンナ派の支配するレバノン・シリア国境地帯、それから彼の住むキリスト教徒の村)を守護する聖堂のような存在であるからだ。それは、過激派の脅威への恐れが広がるなか、自分たちの土地に留まろうとするキリスト教徒たちの欲望を表している。宗派にこだわる他の村人たちとは違い、ハイカルは自ら手を動かすことで抵抗する。イスラム教徒と共に暮らすキリスト教徒として、彼はこの土地に根付いている。

ハイカルは自らがうちたて守る住処における聖堂のような存在なのだ。『そこにとどまる人々』は、地中海東岸のキリスト教徒をその土地に単に留め置こうとするだけの国内の状況に対するメタファーとしてハイカルの物語を見つめようとするものだが、それは何らかの宗派的立場からなされるのではない。というのも、ハイカルの主要な部分を占めているのは、人間としての彼であって、宗派としての彼ではないのだから。

エリアーン・ラヘブ

エリアーン・ラヘブ監督へのインタビューはこちらでお読みいただけます。監督インタビュー

 

『そこにとどまる人々』

 

 

『されど、レバノン』 16:00-(1回上映)

 

『されど、レバノン』

 

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2009 アジア千波万波 奨励賞受賞作品

監督:エリアーン・ラヘブ/レバノン/2008/58分

作品紹介:

紛争が絶え間なく続くレバノンでは、宗派(政党)に関わらず、誰もが傷つき、愛する人を奪われてきた。2006年8月のベイルート。20日間以上、イスラエル軍の爆撃が続く中、30代の監督や友人たち、その親たちの平和を求める思いと行動が行き違う。キリスト教マロン派である監督は、一家や友人たちを映画制作に巻き込み、「これがレバノンなのだ」というあきらめにも似た混沌とした日常を生きる個人の本音をさらけ出す。

監督のことば:

レバノンのような宗派主義の国では、人々はそれぞれの宗派のアイデンティティをもって生まれ、育てられ、形成されていく。私はベイルートで、キリスト教マロン派の家庭に生まれ、その宗教的帰属が、幼いころから自分のアイデンティティとなってきた。私の父はレバノン内戦の間、私たち家族を連れてキリスト教徒ばかりが住む山間部へと移った。父は、そこなら宗派間の虐殺から逃れられると考えたのだ。そこでは私たちは直接、宗派間の争いに巻き込まれることはなかったが、狂信的なキリスト教民兵(レバノン軍団)に“保護”されることとなった。彼らは、イエス・キリストの名において、“キリスト教徒のコミュニティを守る”というスローガンの下、イスラム教徒、パレスティナ人、シリア人、および自分たち以外のキリスト教徒がもたらす悪について、私たちを洗脳した。

私は、内戦後の1990年から2005年の15年間で、宗派主義が、いかに人を破壊し、いかに相互理解と社会正義に対して障壁を築くものなのかを悟った。それは、私の身の周りでも起きている。私の両親、伯父たち、姉妹たちは、キリスト教徒というアイデンティティの中に自分を閉じ込めて孤立し、現在に至るまで、少数派の運命論者として行動し、おびえている。

レバノンは、2005年2月14日から戦争寸前の状態にある。非常に緊迫した情勢で、それぞれのコミュニティ内での宗派抗争がますます激しくなり、私は新たな内戦が起こるのではと懸念している。

映画は人と人とが向き合うための媒体であり、また、対話を開くものだと信じている。だから私の個人的な経験と環境に基づいて、宗派に属さない若い登場人物たちが、自分たちの生い立ち、社会、国に立ち向かう姿を描き、宗派主義に挑む映画を作ることに決めた。この映画が、真の変化をもたらすことを願っている。

エリアーン・ラヘブ

エリアーン・ラヘブ監督へのインタビューはこちらでお読みいただけます。監督インタビュー

 

『されど、レバノン』

 

[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp

5月11日の金曜上映会〈フィルムのなかのやまがた〉

5月11日[金]〈フィルムのなかのやまがた〉

今回の金曜上映会は、〈フィルムのなかのやまがた〉と題して、昭和30年代に山形市広報課が制作した広報フィルムを上映します。長い間山形市役所の地下倉庫に眠っていた16mmフィルムを、当映画祭事務局でパーフォレーションの破損等の修復を行い、クリーニングの上、ビデオに変換しました。これらフィルムの中から、1960年代の山形市内の様子を伝える作品をピックアップ。カラーでよみがえる昭和のやまがたをご堪能ください。

〈フィルムのなかのやまがた〉 14:00- 19:00-(2回上映)

『私たちの施設』の一場面

作品紹介:

『山形市広報ニュース No.4』
山形国際ドキュメンタリー映画祭 2013 オープニング作品
1962/モノクロ/13分 提供:山形市総務部広報課

仙山線の山形―山寺間の電化工事が終了し、電化第1号の列車が誇らしげに線路を走る。山形市本沢の赤禿山のぶどう収穫の様子。オーストリア国立スキー学校長を迎えての、蔵王でのスキースクールは、ダンス・パーティにも余念がない。大曽根地区滝平分校の厳しい冬を少年のナレーションが語る。

 

『山形市広報ニュース No.7』
山形国際ドキュメンタリー映画祭 2013 特集プログラム「やまがたと映画」上映作品

1962/モノクロ/11分 提供:山形市総務部広報課

観光資源として注目される蔵王。昭和37(1962)年に山形と宮城を結ぶエコーラインが開通。冬の様相を見せ始めた11月の山岳道路を多くの車が往来する。そして、蔵王ロープウェイも完成。セレモニーでは天狗の面を被った山伏たちがロープウェイに乗り込んだ。欧米諸国に比べて遅れていた日本の下水道建設。山形市では昭和31(1956)年から約15年の計画で建設工事が始まった。

 

『開けゆく峠路』
山形国際ドキュメンタリー映画祭 2013 特集プログラム「やまがたと映画」上映作品

1964/モノクロ/14分 提供:山形市総務部広報課

「陸の孤島」と呼ばれた山形の発展を阻む笹谷峠に穴をあけようと、昭和30(1955)年頃から計画されていた笹谷トンネル。険しい笹谷峠とともに生きてきた山形市関沢の集落の人々の声を通して完成への期待が描かれている。

 

『笹谷トンネル』
山形国際ドキュメンタリー映画祭 2013 特集プログラム「やまがたと映画」上映作品
1960年頃/カラー/12分 提供:山形市総務部広報課

山形―仙台間の最短路線である笹谷街道は、険しい峠道であった。宮城県の塩釜港(太平洋)と山形県の酒田港(日本海)を結ぶ交易路として、青根温泉、峩々温泉を巡る「夢のようなドライブ・コース」をもたらす笹谷トンネルに対する大きな期待が描かれている。

 

『私たちの施設』
山形国際ドキュメンタリー映画祭 2013 特集プログラム「やまがたと映画」上映作品
製作年不明/カラー/28分 提供:山形市総務部広報課

市営住宅、水道設備、ごみ処理施設、屠場、病院、児童養護施設など、山形市営の施設を紹介。現在は山形市郷土館として公開されている、山形市立病院済生館の青く美しい姿が映し出されている。製作年は不明だが、昭和30年代後半と思われる。

 

 

『笹谷トンネル』の一場面

 

[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp

ドキュメンタリー映画『世界一と言われた映画館』劇場公開スタート!

ドキュメンタリー映画『世界一と言われた映画館 酒田グリーン・ハウス証言集』

『世界一と言われた映画館 酒田グリーン・ハウス証言集』劇場公開情報

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017「やまがたと映画」プログラムにて上映された、映画祭製作の山形県酒田市の伝説の映画館をめぐる証言ドキュメンタリー映画が劇場公開されることになりました!

40年の時を経て語られる、かつてグリーン・ハウスを愛した人たちによるトリビュート・フィルム!

世界一と言われた映画館  酒田グリーン・ハウス証言集
監督:佐藤広一/企画・制作:認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭/日本/2017/Blu-ray・DCP/67分/

●上映劇場(2019年2月25日更新)
東京都 キネカ大森   2/28まで
大阪府 第七芸術劇場  3/30〜(2/24特別先行上映)
新潟県 シネ・ウインド 3/16〜3/29
福島県 フォーラム福島 3/22〜
長野県 シネマポイント 3/23〜
埼玉県 川越スカラ座  3/30〜4/5
埼玉県 深谷シネマ   4/7〜4/20
京都府 京都シネマ   4/6〜4/12
兵庫県 元町映画館   5/4〜5/17
栃木県 宇都宮ヒカリ座 6/8〜6/21
長野県 上田映劇    時期未定
広島県 横川シネマ   時期未定

他、全国拡大中!

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劇場公開:山形 ※終了
●2018年420日[金]11:50、19:40(2回上映)
●2018年421日[土]9:40、11:50、19:40(3回上映
●2018年422日[日]-426日[木]11:50、19:40(連日2回上映)
●2018年427日[金]-53日[木・祝]9:45、12:15(連日2回上映)
●2018年54日[金]-10日[木]10:00(連日1回上映)※10日で終了
21日9:40の回上映後、舞台挨拶(最長11:30まで)があります。
[会場]フォーラム山形(山形市香澄町2-8-1)

劇場公開:鶴岡 ※終了
●2018年420日[金]11:05、17:00、20:30(3回上映)
●2018年421日[土]11:05、17:00(2回上映
●2018年422日[日]-426日[木]11:05、17:00、20:30(連日3回上映)
●2018年427日[金]-53日[木・祝]11:30、18:15(連日2回上映)
●2018年54日[金]-10日[木]11:15、15:50(連日2回上映)
●2018年511日[金]-17日[木]15:55(連日1回上映)
●2018年518日[金]-24日[木]16:10(連日1回上映)※24日で終了
21日17:00の回上映後、舞台挨拶(最長19:00まで)があります。
[会場]鶴岡まちなかキネマ(山形県鶴岡市山王町13-36)

[料金]当日券:1,300円(小学生以上高校生以下:当日券500円)
[主催]山形放送株式会社、認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[協力]庄内ドキュメンタリー映画友の会
[問い合わせ]phone: 023-666-4480(映画祭事務局)

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『世界一と言われた映画館 〜酒田グリーン・ハウス証言集〜』劇場拡大公開!

劇場公開:山形 ※終了
●2018年713日[金]〜26日[木]
[会場]MOVIE ON やまがた(山形市嶋北1-2-2)

劇場公開:東根 ※終了
●2018年713日[金]〜26日[木]
[会場]フォーラム東根(山形県東根市大字蟹沢字縄目1797-1)

※上映時間は各劇場にお問い合わせください。
※終了日が変更になることがございます。

[料金]共通前売券:一般1,000円(当日は劇場の各種料金となります)
※共通前売券取扱い:MOVIE ON やまがた、フォーラム東根、八文字屋天童店、宮脇書店天童店、こまつ書店寿町本店、東根店、あすなろ書店東根店・神町店、甑葉プラザ(村山市)
※共通前売券は各会場でご使用になれます。
※各劇場の各種サービス・割引料金は有効です。
[主催]山形放送株式会社、認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]phone:023-666-4480(映画祭事務局)

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華やかなりし時代を伝えるグリーン・ハウスの外観

映画評論家・淀川長治が絶賛したグリーン・ハウス

山形県酒田市には「世界一デラックスな映画館」と称されたグリーン・ハウスがありました。「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」の名台詞で有名な映画評論家・淀川長治さんがそのサービスの充実ぶりに「世界一!」と絶賛したことで知られています。

ビロード張りの椅子、回転扉、バーテンダーのいる喫茶スペース、観客のための送迎車など、至れり尽せりの映画館だったそうです。しかし、昭和51年、酒田市中心市街地が大規模に焼失した酒田大火の火元になったことで、楽しく映画を観た思い出と共にいつしか人々の記憶の中に封印され、その後グリーン・ハウスを語ることはタブーになってしまいました。

私たちは40年経った今だからこそ語れることがあるはずと、この数奇な運命を辿った映画館について、当時を知る人々の証言を集め、その姿を復元すべくドキュメンタリー映画を作りました。それが『世界一と言われた映画館 酒田グリーン・ハウス証言集』です。

調査の過程で出会った、グリーン・ハウスを愛する人たち。働いていたチケットガールや映写技師の方はもちろん、酒田大火の際、グリーン・ハウスの消火にあたった元消防士の方(『タワーリング・インフェルノ』が大好きで、なんとグリーン・ハウスで2回観ていたそう)や、大火で被災した酒田市出身の歌姫白崎映美さん、グリーン・ハウスからの出火を目撃した伝説のバーテンダーなど、当時を知る方々の貴重な証言が多数登場します。

 

はっきりと蘇るグリーン・ハウスの思い出

 

8mmフィルムとして残されていた館内でのイベントの様子なども収録し、往時に想いを馳せながら華やかなりし時代の伝説の映画館を見ることができます。

ナレーションは大杉漣さんが担当

この作品でナレーションをつとめてくださったのは俳優の大杉漣さんでした。突然の訃報に日本全国が悲しみに暮れたのも記憶に新しいところ。映画ナレーションの最後のお仕事が本作でした。

 

日本映画界に欠かせない存在だった名優の急逝が大変に惜しまれる

 

そもそもこの映画に大杉さんが関わってくれたのは、さまざまな縁が結びついた結果でした。本作の監督である山形県天童市在住の映画作家・佐藤広一さんと大杉さんが約20年前に映画制作の現場で出会っていたこと。偶然にも山形放送のラジオドラマでグリーン・ハウスの支配人だった佐藤久一氏の役を大杉さんが演じており、以前からその人生に強い関心をお持ちだったこと。シネマパーソナリティーの荒井幸博さんが、たまたま大杉さんと佐藤監督、両者ともに親しい関係にあり、その間を取り持ってくれたこと。

 

左から佐藤広一監督、大杉漣さん、シネマパーソナリティーの荒井幸博さん

 

どれか一つが欠けても実現しなかったこのナレーション録りについて、佐藤監督は「運命的な何かが働いたとしか思えない」と、当時の様子を振り返ります。

「グリーン・ハウスのような既に失われたものを映画にすると、どうしても資料的なものになりがち。でも大杉さんのナレーションが入ったことで、はじめて血が通った映画になった気がする」

佐藤監督は感慨深い表情でそう言いました。酒田大火の火元となったことで40年にわたりタブー視されてきたグリーン・ハウス。残された資料と当時を知る人たちの証言だけで映画を紡ぐのは至難の技だったそうです。しかし、大杉さんの落ち着いた温かみのある声が、作品に確かな彩りと存在感を与えてくれました。

 

抑揚やテンポなど細かく打ち合わせをする大杉漣さんと佐藤広一監督

 

ナレーション録りでは、台本上の「幸福」という言葉を「ここは“しあわせ”と読もう」と提案してくれるなど、作品に対して「とても気配りのある人だった」そうです。

こうした人柄が溢れた大杉さんの声があるからこそ、深い愛情と共に語られる失われた映画館の思い出は、観る者の心にしっとりと沁み渡り、それぞれの記憶の一部となって、語り継がれていくことになるのではないでしょうか。この映画が映画館という空間を愛する全ての人たちに届くことを期待しています。

 

YIDFF 2017 のプログラムを持つ大杉漣さん

 

 

 

(文責:山形映画祭事務局)

 

 

4月27日の金曜上映会〈予測された喪失〉

4月27日[金]〈予測された喪失〉

山形国際ドキュメンタリー映画祭 ’93 インターナショナル・コンペティション上映作品から、優秀賞を受賞した『予測された喪失』を上映します。本作のウルリッヒ・ザイドル監督の最新作『サファリ』はただいま全国公開中です。

『予測された喪失』 14:00- 18:45-(2回上映、夜の部開始時間ご注意ください)

『予測された喪失』

山形国際ドキュメンタリー映画祭 ’93 インターナショナル・コンペティション 優秀賞受賞作品

監督:ウルリッヒ・ザイドル/オーストリア/1992/118分

作品紹介:

1992年、冬。一人のチェコ人男性が服を脱ぎ、活発な音楽に合わせて痩せた体で気がふれたように踊る。二人のオーストリア人女性が、その贅沢な食事についてペチャクチャ喋りながらソファに座る。ザイドルのセミ・ドキュメンタリー映画はこの2つのシーンで始まり、終わる。その間に個人的な物語が進行する。やもめのゼップが新しい妻を探しているが、それは愛のためではなく、かつて妻が用意して冷蔵庫に保存しておいた食事が徐々に底をついてきたからだ。

 

『予測された喪失』

 

鉄のカーテンの両側に住む村人たちの生活が、細部に至るまできわめて繊細に記録されている。寓話めいた要素が、東と西という、地理的には近いがまったく異なった二つの世界の関係の中に織り込まれる。片方には物の豊かさと消費、もう片方には貧困と後進性がある。これは、古い世代の寂しさと孤立について、また数々の“喪失”について語ってくれる、その土地と人々の感傷的な肖像である。それは若さと愛の喪失であり、国境と故郷の喪失である。

 

『予測された喪失』

 

こうした感覚は、映画全体を通じて低く垂れ込める重々しい雲といった暗い映像によって強調されている。カメラは屋内シーンと屋外シーンの間を踊るような動きで滑らかに進み、絶えずドキュメンタリーと長編劇映画との境界線を消滅させる。この映画は、そのスタイリッシュさと演出の多用にもかかわらず、きわめて信頼に足るものとなっており、ロマンティックなヴェールをはぎ取られ、踊るチェコ人のごとく剥き出しになった現実性を提示している。

レグラ・ケーニッヒ
(YIDFF ’93 公式カタログより)

 

『予測された喪失』

 

監督のことば:

私たちがこの作品の撮影を開始した時には、どんなラストになるかまだ不明であった。映画は男やもめのオーストリア人、ゼップが旧東地区で嫁探しをする話である。旧東地区なら、安く嫁が手に入るという。チェコに住む未亡人ポーラは、ゼップに、西での豊かな生活を約束してくれる男の姿を見る。

私の当初の目的は、この一個人の話を通して、境界線を挟んだ二つの土地の生活環境の何かを伝えることだった。しかし、この映画は単なる時事問題の取り上げで終わることはなかった。この特定の題材は一方は貧困、もう一方は繁栄という、東と西の対比を描いたのではなく、人生における世界共通の事柄—成就されることのない愛、孤独、老い、そして死を扱っているのだ。

私はこの作品がドキュメンタリーになるのか、それともむしろ劇映画になるのか、見当がつかなかった。だが、最初からその境界を自由に行き来するような作り方をするつもりであった。

田舎なので自分たちの生活なんて「面白くも何ともない」と初上映の日まで信じこんでいた人々と数ヶ月にわたって共に撮影の仕事をするのは、たいへんすばらしく、魅力あふれた経験であったことを忘れずに言っておこう。

ウルリッヒ・ザイドル

 

『予測された喪失』

 

[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp

【レポート】だい8かい 子どもの映画教室

第8回山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー〈子どもの映画教室〉が3月21日(水・祝)に行われました。

以下、現場からのレポートです!

子どもの映画教室とは?

山形ドキュメンタリーフィルムライブラリーで(ほぼ)毎年行われている子ども向けの映像ワークショップ。
知ってるようで知らない映画の世界を楽しく体験できるこの企画、小さなお子さんはもちろん、保護者や大人の参加者からも好評をいただいています。

過去7回では、デジタルカメラを使ったコマ撮りや、手作りの3D映画製作なども行われました(詳しくはこちらから)。

 

映画教室、はじまります

さてさて休日の昼下がり、いつもは静かなフィルムライブラリーから元気な声が聞こえてきました。

 

というのも、今日は<子どもの映画教室>の日だからです!

 

山形国際交流プラザ(通称ビッグウィング)の3階にあるフィルムライブラリー。月に2回行われる金曜上映会のほか、これまでの映画祭の応募作品を誰でも無料で視聴できます。

今回はドキュ山ユースの高校生も含め、小さな子どもから大人まで9名が参加してくれました。

 

ライブラリー&収蔵庫を探検

みんな集まったところで、まずはライブラリーの探検からスタート。

ここ山形市のフィルムライブラリーには、フィルムや各種デジタル媒体の映像作品や映画関連書籍のほか、年代物の映写機やムービーカメラも所蔵されています。

 

おもーいおもーい昔のカメラ(ゼンマイ式!)は一人じゃ持てないほど。さあ、何が見えるかな?

お次はフィルムの収蔵庫。
1989年に始まった山形映画祭の30年近い歴史、そして世界の映画の歴史がつまっています。

ドアには「関係者以外立ち入り禁止」とありますが、今日は特別に中に入ってみましょう〜

 

デジタル化が進む今日、なかなかお目にかかれなくなったフィルム。その重みを身をもって体験しました。

試写室&映写室を探検

40席の小じんまりとした試写室は、毎月2回行われる<金曜上映会>の会場です。
あんな映画からこんな映画まで、映画祭過去作品を中心に、世界中の貴重な作品が上映されてきました。

そんなスクリーンを、今日は間近で観察してみます。

 

何も写っていないスクリーンをじーっと見ることって、実は新鮮な体験だったり

スクリーンに近づいて、じっくり観察する子どもたち。何かに気づいたようです。

ー  小さな穴が空いている!なんで? なんか目が回りそう

そう、スクリーンの裏側から音を出して、映像と音の一体感を出すためです。

 

続いては映写室に潜入。

劇場の後ろの小さな窓から怪しげな光をのぞかせる、あの部屋ですね。

こちらも普段は立ち入ることのできないお部屋といって、子どもたちはもちろん保護者の方々も興奮の面持ち。

(終了後のアンケートでは、「『ニュー・シネマ・パラダイス』の世界を体験できて感激でした!」との嬉しい感想をいただきました)

 

2台1セットの35mm映写機。巨大な機械にかこまれて、子どもたちはちょっと緊張気味?
小窓に反射して映写室にも光がこぼれます

フィルムにお絵描き

フィルムがスクリーンに映し出される仕組みを体験したところで、いよいよ自分たちの映画を作る時間です。

というわけで別室の作業スペースにやってきました。

今回は透明なものと黒く塗ったもの、2種類の16mmフィルムを用意。
透明フィルムには油性マジックペンで絵を描いて、黒塗りフィルムは削って模様を浮き出させます。

 

1秒間に24コマ、映画の仕組みをレクチャー。高校生も興味津々。

与えられた作業時間は1時間。その間に5秒間の映像を作ります。

ご存知の方も多いかと思いますが、映画は1秒あたり24枚の写真からできています。
パラパラ漫画と同じ原理で、人間の脳は静止画の連続を動画として処理してしまうんですね。

というわけで、今回与えられたミッション、5秒間の映像を作るには、24×5=120コマも必要になるのです!
(そのうち最初の8コマは、作者の目印として名前の頭文字や好きなマークを描きます。)

せっかくなので子どもたちに混ざって僕も作品を作ってみることに。透明フィルムが人気のようだったので、あえて黒塗りのほうをチョイスしてみました。

子どもたちは迷うことなくペンを手に取り、一心不乱に描き始めます。
うーむ、迷いのなさと集中力には脱帽です。

 

夢中①

僕はといえば、5秒でなにを語ればいいのだろう、1コマずつどのくらい動かしたらなめらかな映像になるのだろう、と考えはじめるとなかなか筆(?)が進みません…

とりあえずテーマは魚つりにしようと決めて、マイナスドライバーで黒い絵の具を削り始めました。

 

明かりにかざして途中経過を確認。イメージを膨らませます。

我ながらなかなかの出来栄え、と思いながらも、ここまでまだ40コマ。時間にして2秒弱。
5秒って意外と長い…

周りでは、1つ目を完成された子どもたちが次々と新しい作品に挑戦していきます。

 

夢中②
透明フィルムと黒塗りフィルム。それぞれ5秒間分です。1枚をじっくり仕上げる子もいれば、次々と新しいやりかたに挑戦する子も。

子どもたちに刺激を受けながら、僕もなんとか時間内に1つ作品を完成させることができました。

 

スプライサーという機械でみんなの作品をつないでいきます

スクリーンに映してみよう

あっという間に1時間が経過し、参加者はもう一度試写室へ。

今回は9名の作品を2つのフィルムに分けてつなぎました。それぞれの最初と終わりをつないでループ状にし、エンドレスで繰り返し上映される仕組みです。

 

この日のためにカスタマイズされた16mm映写機

フィルムに描いた小さな小さな絵が、映写機の光を通してどんなふうにスクリーンに映るのでしょうか?

劇場の照明が落とされ、期待と緊張で胸がドキドキ。

映写機がカタカタと音を立て、いよいよ上映が始まりました!

 

透明フィルム:パステルカラーが鮮やか
黒塗りフィルム:シックで重厚な感じ

(映像はこちらから。過去のワークショップの映像もご覧いただけます)

暗闇のなか作品がスクリーンに映し出されると、子どもたちから歓声が上がります。

(必死に削り出した魚がスクリーンを泳ぎ始めた瞬間は、僕も密かに大興奮でした。)

 

ところで、フィルムの端っこには音を記録するサウンドトラックがあるので、そこに描かれた模様は音声に変換されて聞こえてきます。

僕はサウンドトラックの存在を忘れてフィルム全体にお魚の絵を描いてしまったので、絵の一部はスクリーンに映る<像>ではなく、ざらざら、ごわごわ、と聞こえる<音>になってしまいました…

<絵>が<音>に変換されるというのはとっても不思議ですね。

 

最後は2台の映写機で2つのフィルムを同時投影。
2つの映像と音が重なり、予想もつかない像が結ばれました。

 

無作為に重ねられた2つの像。アヴァンギャルド?

 

2台の映写機の前で手を振って、光の束をさえぎる子どもたち。映画って光と影からできているんですよね。

あんなに時間をかけて描いたのに、映像になるとほんの一瞬。でもそのはかなさがまた映画の魅力でもあるのかなと。

最後は長時間露光でちょっと変わった記念撮影。

というわけで、第8回子どもの映画教室はこれにて終了です〜〜

ご参加いただいたみなさん、素敵な笑顔と素敵な作品、ほんとうにありがとうございました。
リピーターも大歓迎ですので、またフィルムライブラリーでお待ちしています!

まとめ

暗闇でスクリーンを見つめる、緊張と喜びが入り混じった子どもたちの表情が印象的でした。今回のワークショップを通じて、ますます映画を好きになってくれたら嬉しいです。

子どもの映画教室は来年も開催の予定です。ぜひ、親子で参加されてみてはいかがですか?

(山形映画祭事務局:遠藤徹)

4月13日の金曜上映会〈YIDFF 2017 アンコール5:パムソム海賊団、ソウル・インフェルノ〉

4月13日[金]〈YIDFF 2017 アンコール5:パムソム海賊団、ソウル・インフェルノ〉

2017年の山形映画祭で上映されたコンペ部門の作品から選りすぐりのものを上映する金曜上映会アンコールシリーズの5回目です。今回はアジア千波万波の上映作品から、チョン・ユンソク監督による『パムソム海賊団、ソウル・インフェルノ』を上映します。

『パムソム海賊団、ソウル・インフェルノ』 14:00- 18:45-(2回上映、夜の部開始時間ご注意ください)

『パムソム海賊団、ソウル・インフェルノ』

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017 アジア千波万波 特別賞受賞作品

監督:チョン・ユンソク/韓国/2017/119分

作品紹介:

チャン・ソンゴン(ベース)、クォン・ヨンマン(ドラム)からなるグラインドコアバンド、パムソム海賊団。大学や路上、取り壊される建物、済州島の4.3事件集会で、韓国社会の様々な問題と接点を持ちながら、若者の閉塞感をシャウトする柔軟かつストレートなふたりの若者の姿を捉える。アルバム『ソウル・インフェルノ』の曲と一体化した映画は、ロードムービーのように前進するかに見えたが、2012年、友人のプロデューサーが国家保安法違反の罪で逮捕され……。

 

『パムソム海賊団、ソウル・インフェルノ』

監督のことば:

ソウルで流行りのクラブで定期公演するようなバンドとは対照的に、パムソム海賊団が主に演奏を行うのは、さびれた公演や地方の小さな村、立ち退きを強いられた土地や日本の反核デモといった、主流からはおよそかけ離れた場所である。本作は、そのようなパムソム海賊団の巡業を、都市と地方に分断され、都市開発が称賛されるべき経済成長と同じものとみなされがちなこの韓国という国のコンテクストにおいて考察している。

しかも、済州島や日本で行われたパムソムのコンサートは、エネルギー問題や安全保障、主権といった政治論争の中心地でもある。かくして彼らの旅のクライマックスは、パムソム海賊団のプロデューサーであり、友人でもあるパク・チャングンが国家保安法違反の嫌疑をかけられ、逮捕されたときに訪れた。パクが逮捕されたことで、もともとの私のプランーーパムソム海賊団の足取りを追うことで韓国の若者文化を探ることーーは途方もない見直しを余儀なくされた。デビューアルバムの『ソウル・インフェルノ』は、パクの審理の証拠として使われ、クォンも証人として出廷した。

現存する最後の共産主義体制が、資本主義体制を敷くその同胞と対峙するこの朝鮮半島には、中立の立場など存在しない。非民主的で抑圧的な、対立を煽るだけの冷戦イデオロギーは、ポスト冷戦時代になってもいまだに鳴り響いている。そうだとしても、パク・チャングンのツイートした「キム・ジョンイルがカー・セックス」という言葉や、パムソム海賊団の『ソウル・インフェルノ』は、時代に鋭く警告を発し、ポスト – ポスト冷戦時代の幕を開くものとなる。私たちの住む硬直した現代社会に残された断片に目を向けることで、私はそれらを集め、何か新しいものに作り替えようとしているのである。

チョン・ユンソク

チョン・ユンソク監督へのインタビューはこちらでお読みいただけます。 監督インタビュー

 

『パムソム海賊団、ソウル・インフェルノ』

 

[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp

金曜上映会特別版「震災と『地域映画』の未来」を開催します!

金曜上映会特別版
「ともにある 2017」特別上映会:「震災と『地域映画』の未来」

「ともにある2017」関連特別上映会を開催いたします!

3月24日(土)
14:00より(1回上映)

上映作品:

『よみがえる大船渡』監督:三好大輔/日本/製作:東京藝術大学/2014/25分
『よみがえる浪江町』監督:三好大輔/日本/製作:東京藝術大学/2015/33分

三好大輔監督来場、上映後トークあり

今回は、震災後、東京藝術大学のプロジェクトチームが被災地大船渡市と浪江町の住民の方々に呼びかけ収集した、古い写真や8ミリホームムービーの断片をまとめ、作品として公開した二本を上映します。

祭や結婚式、運動会、神社の草刈り、家の前で遊ぶこどもたち。当たり前の日常、息遣い、かけがえのない家族の思い出が記録された昭和の古いフィルムが、被災後に修復され、デジタル映像として生き生きとよみがえりました。

 

浪江町にて撮影  © TOKYO UNIVERSITY OF ARTS

 

大船渡にて撮影された写真。震災時のダメージも可能な限り修復された。  © TOKYO UNIVERSITY OF ARTS

本作の監督であり、被災地だけでなく、安曇野や小豆島など全国各地で家庭の8ミリフィルムを発掘・収集・保存し、住民とともに町の歴史・風景の継承を続けている映像作家・三好大輔氏をお招きし、その「地域映画」の取り組みについてもお話をうかがいます。ご興味のある方はぜひご参加ください!

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山形国際ドキュメンタリー映画祭では、2011年の東日本大震災発災以降、震災についての記録映画を上映する特集プログラム「ともにある Cinema with Us」を開催してきました。また映画祭本番だけでなく、毎月二回、山形ドキュメンタリーフィルムライブラリーで開催している金曜上映会でも、震災に関する映像作品を定期的に上映しています。

2014年2月28日に開催した金曜上映会では、YIDFF2013「ともにある」上映作品の中から、高野裕之監督『仙台市の下水道災害復旧』、岡達也監督『南相馬市原町区 ぼくの町の住人』をアンコール上映。

監督お二人をお迎えして制作についてのお話を伺うとともに、会場では「耳を澄まそうプロジェクトvol.2」による「みんなの写真展」も同時開催。南相馬の方々、災害ボランティアの方々がコンテスト応募のため撮影した写真の数々を展示しました。

 

高野裕之監督(右端)と岡達也監督(中央)[2014年2月]
耳を澄まそうプロジェクトvol.2「みんなの写真展」[2014年2月]

2016年3月24日(金)の上映会では、小森はるか・瀬尾夏美監督作品『波のした、土のうえ』(2014)を上映。監督のお一人である画家・作家の瀬尾夏美さんに来場いただきました。

上映後に、彼女の絵画作品の展示とともに、作品のロケ地であり彼女たち自身が3年暮らした岩手県陸前高田市の状況や、住民の方々との交流などについてお話いただきました。また、ご著書の中の一節も朗読くださいました。訥々とした彼女の語りを通して、被災後の喪失感、長年暮らしてきた故郷への思いが胸に染み入るようでした。

 

瀬尾夏美さんのトーク [2016年3月]
変わりゆく陸前高田の町を描いた色鮮やかな作品 [2016年3月]

この震災復興に関する定期上映会は今年も続きます。記録映像や展示などを通して、被災地域の状況、風景の変容、復興の道のりを知り、語り合う場となるよう、さまざまな企画を行なっていきます。引き続き、ぜひご参加ください!

 

(山形映画祭事務局:畑あゆみ)

3月9日の金曜上映会〈YIDFF 2017 アンコール4:ニンホアの家〉

3月9日[金]〈YIDFF 2017 アンコール4:ニンホアの家〉

2017年の映画祭で上映されたインターナショナル・コンペティション作品から選りすぐりのものを上映する金曜上映会アンコールシリーズの4回目。今回はドイツのフィリップ・ヴィトマン監督による『ニンホアの家』を上映します。併映は1991年のアジア・プログラムで上映されたチャン・ヴァン・トゥイ監督の『思いやりの話』。どちらもベトナムの家族や市民の生活を追った作品です。ご期待ください。

『ニンホアの家』 14:00- 19:00-(2回上映)

『ニンホアの家』

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017 インターナショナル・コンペティション上映作品

監督:フィリップ・ヴィトマン/ドイツ/2016/108分

作品紹介:

固く閉じられた窓、人気のない廊下、使われてない家具ーーヴェトナム南部ニンホアにある家は、かつてそこに暮らし、ヴェトナム戦争で離散した家族の記憶を抱く。鶏の鳴き声、水田の手入れといった穏やかな日常が営まれる「家」と、もう一軒の新しい「家」。死者に呼び寄せられるかのように、ドイツとヴェトナムに離れていた一家は、長い時を経て二つの「家」で再会し、故人の手紙、昔の写真、霊媒師による降霊といった不在者の断片を拾い集める。3世代にわたる「家の記憶」が紡ぎ出す家族の物語。

 

『ニンホアの家』

監督のことば:

『ニンホアの家』は、ある移民の家族の歴史を、故郷に残った者の視点から描いている。その視点と同様、製作チームとしての私たちの位置づけも特殊なものだった。すなわち、私とグエン・フオン・ダンは、家族集団の中の異物として、そして同時に、異なる生活を送るドイツの親戚の代表者として、国を超えた家族の壊れやすい共同生活に目を向ける。ただ、初めてヴェトナムを訪ねた2005年当時から、私の非力な状況は少しも軽減されなかった。というのも、私は常に言葉を翻訳してもらう必要がありながら、しかし映画の言語へ翻訳する者でもあったから。

『ニンホアの家』で私たちは、ドキュメンタリーの分野における実験的なアプローチとして、俳優ではない人々による演劇的な手法を試みた。すなわち私たちは主人公である女性たちとともにドラマツルギー的、内容的な枠組みを設け、その枠内においてカメラの前で即興的に日常生活が行われるという方法を採った。

その際、日常生活からひとつの核となる部分が抽出され、言葉にならない、わずかに示唆される一族の歴史の一部が、徐々に追体験できるようになるのである。必然的に私たちは、作劇上のクライマックスなどは放棄することとなった。物語は、家族の生活という水面に、ほとんど気づかないほどの波しか発生させないからだ。

この家の中で時間は循環しているように見え、過去や未来へ向かう印象を与えるものはほとんどない。聞こえてくるさまざまな言葉ーー日々の対話、過去の手紙の朗読、ひそやかな愛国主義者Tiepからの報告書を読む声、電話、村の役場の社会主義的なラジオのお知らせーーこうした様々な声が、遠くかけ離れた時間や場所、そこに属する人々の間の記憶を呼び覚まし、ひとつの断片的な物語へと結合されていく。

1975年と2014年。ニンホアとボン。ヴェトナムとドイツ。生者の世界と死者の世界。これらの呼び起こされた記憶の弾道の一部を、飛行機であり、原付バイク、電車、手紙、写真、電話、供え物、死者の夢、死者との対話などが担っているのである。

フィリップ・ヴィトマン

 

『ニンホアの家』

 

『思いやりの話』 16:15-(1回上映)

『思いやりの話』

山形国際ドキュメンタリー映画祭 ’91 アジア・プログラム上映作品

監督:チャン・ファン・トゥイ/ヴェトナム/1986/45分

作品紹介:

ヴェトナムにおいて、独自のペレストロイカを試みた時代に作られたドキュメンタリーである。一見すると市民の生活の仕方と、個人の道徳観念について描く映画である。とはいっても、この表面上のテーマは監督の真の意図を隠している。その意図とは、現在におけるありのままの国の状態(貧困により絶望状態にあり、ほとんど勢力を失った国)をみせることである。監督のチャン・ファン・トゥイは、ドキュメンタリーの映画作家は国民の熱望を映画に反映させなければならないと信じている。この映画の中には、この監督の思想を捉えており、大変興味をそそるシーンが一つある。スタッフがレンガ工場に近づいたとき、オーナーは外に飛び出してきて、こう罵倒する。「わたしは、お前ら映画人にはうんざりしているんだ。お前らは何もかもでっちあげいるだけじゃないか。わしたちのありのままの生活をみせれるものなら、みせてみろ。お前らは何もかもでっちあげて恥ずかしくないのか」と。このシーンをみるだけでも、一見の価値がある。

YIDFF ’91 公式カタログより

 

『思いやりの話』

 

[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp

ドキュ山ユースによる自主上映会に参加してきました!

【レポート】ドキュメンタリー映画を体感してみませんか?〜高校生による上映会〜

学生ボランティアチーム<ドキュ山ユース>有志による初めての自主上映会が大盛況のうちに終了しました!

ということで今回は、当日お手伝いにきてくれた映画祭事務局インターンの横山絢大くん(東北公益文科大学1年生)に、盛り上がりの様子をレポートしてもらいます!

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2月12日(月・祝)山形市民会館小ホールにて、ドキュメンタリー映画の魅力を同世代に知ってもらうという趣旨のもと、映画祭ボランティアチーム<ドキュ山ユース>手作りの自主上映会が開催されました。

「同世代の若者に観てほしい」という想いで高校生が選んだのは、次の2作品です。

『あまねき調べ』インド/2017/83分
監督: アヌシュカ・ミーナークシ、イーシュワル・シュリクマール
YIDFF 2017 アジア千波万波 奨励賞、日本映画監督協会賞

『乱世備忘ー僕らの雨傘運動』香港/2016/128分
監督: 陳梓桓(チャン・ジーウン)
YIDFF 2017 アジア千波万波 小川紳介賞

それでは早速、当日の流れを振り返ってみましょう!

8:00 会場設営開始

ミーティングを足早に済ませ、会場設営に取り掛かる!

 

前日から大雪の降った山形市。客足への影響が心配されたが…

 

ユースたちを応援しようとかけつけてくれた大学生たち(頼もしい!)

 

まもなく開場! お客さんの誘導や進行についてユースのメンバーが指示を出してくれました

9:30 開場

開場時刻となると、1人、また1人と上映会を楽しみにされていた方々が特設のシアターへと入っていきました。

ロビーにもお客さんが

10:00 『あまねき調べ』上映

ドキュ山ユースによる挨拶の後、いよいよ上映のスタート!

谷という谷に農民たちの歌が響き渡る(『あまねき調べ』)

その地に住む農民にとって歌は、悲しい時、嬉しい時、怒っている時など生きていくどの場面でも欠かすことのできないものであることを知りました。

13:00 「映像文化創造都市山形について」プレゼンテーション

お昼休憩を挟んで、第二部がスタート。

堂々たるプレゼンテーションを披露した長澤くんは、なんと高校一年生!

13:20 チャン・ジーウン監督舞台挨拶

ドキュ山ユースの上映会のために香港から駆けつけてくれたチャン・ジーウン監督

13:30 『乱世備忘ー僕らの雨傘運動』上映

民主的な選挙を求める香港の学生運動を描いた『乱世備忘ー僕らの雨傘運動』

自らの主張を行動で自らの言葉で他の人に伝えようと努力して、報われない結果だとしても変えてやるという心持ちで必死に生きている若者が描かれていてとても考えさせられる映画でした。

16:00 パネルディスカッション・質疑応答

作品やドキュメンタリー映画を作り始めたきっかけを訪ねるユース
どんな質問にも丁寧に答えてくれました
客席からの質問を読み上げる菊地くん(黄色い傘の形をした質問用紙をホワイトボードに貼り出しました)

16:40 意見交流

映画を見て思ったことについて、みんなで共有して、話し合ったことを発表。

 

大人も高校生も同じ目線で対話
なんと監督も参加!

17:00 閉会の挨拶

お客さんも監督もまだまだ話し足りない様子でしたが、残念ながら終了の時間。
グループごとに話し合った内容をまとめて発表し、大盛り上がりの意見交換はこれにて終了です。

 

閉会の挨拶をするユース7人
観客のみなさんと記念撮影
ユースとスタッフで監督を囲んで

その後会場内の片付けをすませ、打ち上げの会場へ

ようやく緊張がほぐれ、打ち上げは大盛り上がり。英語でのおしゃべりにも挑戦!

感想

2月12日は高校生による自主上映会にボランティアとして参加させて頂きました。前日から降り続いた雪で電車が止まるなど影響がありお客様に足を運んで頂けるか心配されましたが、『あまねき調べ』と『乱世備忘―僕らの雨傘運動』で延べ120人を超える観客を動員することが出来ました。
この上映会は昨年行われた山形国際ドキュメンタリー映画祭2017にボランティアとして参加した高校生たちが中心となり、「同世代の人にドキュメンタリー映画の魅力を知ってもらいたい」という想いから企画されました。私は会場の準備から後片付けと裏方の仕事に徹しましたが、上映中は1人の観客として映画を楽しむことができました。

とりわけ、強い想いを胸に秘めて闘う香港の学生を描いていた作品『乱世備忘―僕らの雨傘運動』が印象に残っています。それは、作品に登場している学生たちと歳が近いのもありますが、もし同じ状況に立たされたとして、自分も彼らのように自らの主張を行動で表すことができるかと考えさせられたからです。

アンケートによると、来場者の内訳は10代や20代の若者よりも上の世代の方の割合の方が多いという結果でした。上映会を広める手段としてポスターを貼ったり、SNSを活用してみたり様々取り組みましたが、たくさんの高校生を会場に呼び込むまでには至りませんでした。
定期的に高校生に対する上映会をしていくことを続けていくことで、それに携わった高校生やボランティアの学生から情報発信していくことで改善できるのではないかと考えました。
私自身ドキュメンタリー映画は中学生の頃に一度授業で見た覚えがあるのですが、その時は面白いとは感じられず、難しいというイメージがとても強く大人の映画だと思いました。
ですが、それから数年の月日が経ち見てみると前に感じることのなかった面白さが分かるようになっていました。ドキュメンタリーの面白さを感じることが出来ようになった今、もっと他の作品も見てみたいと思うようになりました。最初はどんな作品なんだとみていて思われるかもしれませんが、あなたに合う作品と巡り合うはずです。今はそんなに興味を持たれていない方でも気軽にドキュメンタリー映画を見てもらえると嬉しいです。

最後に、今回の上映会にご来場くださいました皆さまありがとうございました。見て面白いと感じられた方や他の作品も見たいと思われた方は、来年2019年に開催される映画祭にぜひお越し下さい。また、毎月第2、第4の金曜日に過去の映画祭の作品を上映しておりますので、フィルムライブラリーへお越しください。

文章:横山絢大(東北公益文科大学1年)
監修:山形映画祭事務局

 

映画・映像で遊ぼう!〈子どもの映画教室〉

映画・映像で遊ぼう! 〈子どもの映画教室〉

山形市創造都市推進事業
第8回山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー〈子どもの映画教室〉
「手がきフィルムで映画をつくろう」

日時:3月21日[水・祝]13:00-16:00
会場:山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー(山形ビッグウイング3F)

http://www.yidff.jp/news/18/180124.html

毎年恒例になった〈子どもの映画教室〉

山形ドキュメンタリーフィルムライブラリーで開催している「子どもの映画教室」も8回目となりました。

第1回は2010年、デジタルカメラをつかったコマ撮りでした。

 

果物を使ってコマ撮りアニメーションを作る!

バナナやりんごやみかんに命を吹き込んでつくられた短い映画。上映後、村山匡一郎さん(映画批評家/YIDFF理事)の質問に答える彼らは何だか誇らしげでした。

 

映画評論家・村山匡一郎さんといっしょ

その後もほぼ毎年度行なわれ、長時間露光で「星座の神話」を作ったり、35mmフィルムに直接絵を描いてみたり、モノクロ・サイレントでトリック撮影をしたこともありました。

2016年には、YIDFF2015 インターナショナル・コンペティションの審査員を務めていただいた、映像作家の牧野貴さんを講師に迎え、「てづくり3D映画」にも挑戦しました。

 

映像作家・牧野貴さんといっしょ

小さな子が、小さな手で一心不乱に16mmフィルムのサウンドトラックを描きこんでいく姿は感動的ですらありました(注目しすぎてすねられてしまいましたが…。ごめんね。)。

 

一心不乱に16mmフィルムに着色! 

上映時には、自作の音を操作するライブ・パフォーマンスにも挑戦してもらいました。

 

手がきした16mmフィルムを映写機にセットして、いよいよ上映スタート!

映像ワークショップだけでなく、毎回、「ライブラリーと映写室の探検」も行なっています。フィルムの「手触り」「重さ」「におい」、そして舞台裏の風景。そこから映画の歴史を少しでも感じ取ってもらえればと思っています。

 

フィルム缶って重いね
35mm映写機のスイッチをオン! 映画が映った!

わたしたち誰もが手ごろな道具で簡単に映像を作れてしまう時代。それでも、暗転とともに高まる皆の期待と、大画面に光が飛び出す瞬間の高揚は、やはり何にも代え難いものです。しかも、作者ですら、何がどう現れるのかわからない!

今回はどんなことをしてみようか。もしくはしないようにしようか。参加者の皆さんがどう転がしてくれるのか、楽しみです。

 

(山形映画祭事務局:黄木優寿)

 

 

2月23日の金曜上映会〈YIDFF 2017 アンコール3:孤独な存在〉

2月23日[金]〈YIDFF 2017 アンコール3:孤独な存在〉

2017年の映画祭で上映されたインターナショナル・コンペティション作品から選りすぐりのものを上映する金曜上映会アンコールシリーズの3回目。今回は沙青(シャー・チン)監督作品『孤独な存在』を上映します。併映は2003年のインターナショナル・コンペティションで上映されたヘルツ・フランク監督の『フラッシュバック』。「生きる意味」を問い、思索を喚起する2作品をご堪能ください。

『孤独な存在』 14:00- 19:00-(2回上映)

『孤独な存在』

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017 インターナショナル・コンペティション 優秀賞

監督:沙青(シャー・チン)/中国/2016/77分

作品紹介:

彼は何年もの間、家から出ることなく、締め切ったドアの内側で、誰とも会話することなく過ごしてきた。いままで向き合うのを避けてきた、隠された自己を投影する他者の存在を、カメラでひたすらに観察する欲望だけが、彼の生をつないでいる夢幻的な日常風景に息づく他者のイメージを通して、彼は魂の自由を得られるのか? 『一緒の時』(YIDFF 2003)の沙青監督が、作家として、他者や自己を見つめることの根源を問う。

 

『孤独な存在』

監督のことば:

12年前、新作の準備をしていた私は、ひどく落ち着かない気分にとらわれていた。またしても私は、他人を記録する映画を作りつつも、自己を隠蔽しようとしているのだろうか。そうでないにしても、自己を表出するとなったとき、どうするのが適切と考えられるのだろうか。私の個人的な生を描くだけのものにならないためにはどうすればよいのだろうか?

手がかりを求めて、私は試行錯誤を開始した。カメラのレンズを通して、何年も前から魅了されてきたいくつかの顔を観察することを始めたのだ。眼前の彼らの、簡潔でぎこちない、ほとんど剥き出しの生は、ただあるがままにある。私は想像のなかで、彼らとともにその家に入り込み、彼らの生において長い日々をやり過ごす助けとなる輝かしい瞬間とはどんなものか推し量ろうとした。しかし、言葉が信じられない、あるいは単に人見知りということもあるのだろう。私が実際にあえてそれを突き止めることはなかった。

6年後、私は他の人びとを観察したものを、一篇の映画にまとめ上げた。それでも、あの落ち着かない気分が消えることはなかった。だから私は、自分の作品はまだ完成していないと感じていた。

また数年が経ち、私はどん底にいるような気分に陥っていた。こんな気持ちになったのは初めてのことだった。しかし、まさしくこのとき、生はその尋常ならざる力を開示したのである。崖っぷちからどうにか復帰し、私は新たに限られた生を生きられるようになっていた。あれほど長らく望んでいた気分や活力が、私のなかを満たしたのである。

制作作業を再開すると、かつて自分を悩ませた、にもかかわらず実際に掘り下げることのなかったあれらの問いのいっさいが、ふたたび私の脳裡に浮上してきた。私に悟りが訪れたのは、過去の哲学者や賢人が遺してくれた励ましの言葉やその徴に目を向けるようになったときのことである。他者の顕在化とともに自己を見出すことが、生の本質を開示したいという欲望を可能にすることを、ようやく私は理解したのである。

沙青(シャー・チン)

 

『孤独な存在』

 

『フラッシュバック』 15:40-(1回上映)

『フラッシュバック』

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2003 インターナショナル・コンペティション上映作品

監督:ヘルツ・フランク/ラトヴィア/2002/105分

作品紹介:

ヘルツ・フランク監督の自伝的作品。活動してきた国を歴訪する映像の合間に挿入される過去の作品の断片――出産、死体解剖、割礼、死刑執行を待つ囚人などショッキングなテーマの果てに監督自身の心臓手術シーンが待ち受ける。自らを題材として生と死について語り続ける真摯さの中から、75年という人生の軌跡が鮮やかに浮かび上がる。

 

『フラッシュバック』

監督のことば:

これは、私が今まで共に仕事をさせてもらったカメラマンたち――澄んだ片目と涙に曇ったもう片方の目を持つカメラマンすべてに捧げる、映画に形をかえた告白録だ。作中400からなるシーンはどれも正真正銘のドキュメントであり、それらが集まって、ドラマティックな展開、独自の考え方、私的な世界観、そしてもちろん映像文化が想像的に織り成されている。

『フラッシュバック』は1978年の短編映画『Ten Minutes Older』から生まれた。当時カメラマンのジュリス・ポドニエクスと私は人形劇シアターで、この映画をワンテイクで撮りあげた。10分間カメラを回し続け、3列目にいた男の子の顔をじっと見つめる私たちは、劇場の薄暗がりを通してそのかすかに震える表情の中に人間の魂の深淵をのぞいていた。1999年、私はふたたびこの少年に会いたいと思った。現実の暮らしの中で、おとぎ話ではない現実の善と悪に触れ、あの震えていた子供はどう変化しただろうか?

こうして新しい映画の扉は清き天使によって開けられたが、その背後には堕天使がひそんでいた。妻が致命的な病にかかり、私自身も心臓手術を受けることになったのだ。私は何もかもあきらめるしかないと思ったが、ドキュメンタリー映画製作に取り組む意欲が自分の肉体をはるかに上回っていた。

私はカメラを自分に向け、そして昔をふり返った……まさにフラッシュバック! 過去の作品、心臓切開して治療すればまだ引き延ばせると分かった自分の人生を、私は思い出した。私の目の前で消え去ってゆく妻の悲しい運命……はるかな故郷ラトヴィアのリュツァ、私が生まれ、そこからすべてが始まった小さな町。母は歯科医で、写真家だった父の生涯の夢は映画を撮ることだった……。

ヘルツ・フランク

 

[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp

2月9日の金曜上映会〈小川紳介監督と学生運動〉

2月9日[金]〈小川紳介監督と学生運動〉

今回の金曜上映会は、2月12日に開催する高校生による自主上映会「ドキュメンタリー映画を体感してみませんか? 〜高校生による上映会〜」での『乱世備忘ー僕らの雨傘運動』上映にちなみ、小川紳介監督の初期作品『圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録』を上映します!

『圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録』 14:00- 19:00-(2回上映)

 

『圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録』

監督:小川紳介/日本/1967/モノクロ/16mm/105分

作品紹介:

高崎市立経済大学の学園闘争を記録して、60年代後半の全国的な学生叛乱の予兆に満ちた作品。大学の10年にわたる不正入学、市当局の学校運営への度重なる介入。学生自治に対し、体育会系の学生をけしかけて一般学生を暴力で脅すなど、露骨な弾圧。学生はこれに対し全学ストライキで立ち向かう。ついに学生ホールに立てこもった十数名の学生たち。小川やそのスタッフも、彼らと「密室」の中で生活を共にしながら、時間を共有していく。そして彼らと「彼らがスタッフに隠したことは本当になかった」(小川)と言い切れるほどの一体感で捉えることに成功した。

 

『圧殺の森 高崎経済大学闘争の記録』

 

[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp

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