4月13日[金]〈YIDFF 2017 アンコール5:パムソム海賊団、ソウル・インフェルノ〉

2017年の山形映画祭で上映されたコンペ部門の作品から選りすぐりのものを上映する金曜上映会アンコールシリーズの5回目です。今回はアジア千波万波の上映作品から、チョン・ユンソク監督による『パムソム海賊団、ソウル・インフェルノ』を上映します。

『パムソム海賊団、ソウル・インフェルノ』 14:00- 18:45-(2回上映、夜の部開始時間ご注意ください)

『パムソム海賊団、ソウル・インフェルノ』

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2017 アジア千波万波 特別賞受賞作品

監督:チョン・ユンソク/韓国/2017/119分

作品紹介:

チャン・ソンゴン(ベース)、クォン・ヨンマン(ドラム)からなるグラインドコアバンド、パムソム海賊団。大学や路上、取り壊される建物、済州島の4.3事件集会で、韓国社会の様々な問題と接点を持ちながら、若者の閉塞感をシャウトする柔軟かつストレートなふたりの若者の姿を捉える。アルバム『ソウル・インフェルノ』の曲と一体化した映画は、ロードムービーのように前進するかに見えたが、2012年、友人のプロデューサーが国家保安法違反の罪で逮捕され……。

 

『パムソム海賊団、ソウル・インフェルノ』

監督のことば:

ソウルで流行りのクラブで定期公演するようなバンドとは対照的に、パムソム海賊団が主に演奏を行うのは、さびれた公演や地方の小さな村、立ち退きを強いられた土地や日本の反核デモといった、主流からはおよそかけ離れた場所である。本作は、そのようなパムソム海賊団の巡業を、都市と地方に分断され、都市開発が称賛されるべき経済成長と同じものとみなされがちなこの韓国という国のコンテクストにおいて考察している。

しかも、済州島や日本で行われたパムソムのコンサートは、エネルギー問題や安全保障、主権といった政治論争の中心地でもある。かくして彼らの旅のクライマックスは、パムソム海賊団のプロデューサーであり、友人でもあるパク・チャングンが国家保安法違反の嫌疑をかけられ、逮捕されたときに訪れた。パクが逮捕されたことで、もともとの私のプランーーパムソム海賊団の足取りを追うことで韓国の若者文化を探ることーーは途方もない見直しを余儀なくされた。デビューアルバムの『ソウル・インフェルノ』は、パクの審理の証拠として使われ、クォンも証人として出廷した。

現存する最後の共産主義体制が、資本主義体制を敷くその同胞と対峙するこの朝鮮半島には、中立の立場など存在しない。非民主的で抑圧的な、対立を煽るだけの冷戦イデオロギーは、ポスト冷戦時代になってもいまだに鳴り響いている。そうだとしても、パク・チャングンのツイートした「キム・ジョンイルがカー・セックス」という言葉や、パムソム海賊団の『ソウル・インフェルノ』は、時代に鋭く警告を発し、ポスト – ポスト冷戦時代の幕を開くものとなる。私たちの住む硬直した現代社会に残された断片に目を向けることで、私はそれらを集め、何か新しいものに作り替えようとしているのである。

チョン・ユンソク

チョン・ユンソク監督へのインタビューはこちらでお読みいただけます。 監督インタビュー

 

『パムソム海賊団、ソウル・インフェルノ』

 

[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp