第8回山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー〈子どもの映画教室〉が3月21日(水・祝)に行われました。

以下、現場からのレポートです!

子どもの映画教室とは?

山形ドキュメンタリーフィルムライブラリーで(ほぼ)毎年行われている子ども向けの映像ワークショップ。
知ってるようで知らない映画の世界を楽しく体験できるこの企画、小さなお子さんはもちろん、保護者や大人の参加者からも好評をいただいています。

過去7回では、デジタルカメラを使ったコマ撮りや、手作りの3D映画製作なども行われました(詳しくはこちらから)。

 

映画教室、はじまります

さてさて休日の昼下がり、いつもは静かなフィルムライブラリーから元気な声が聞こえてきました。

 

というのも、今日は<子どもの映画教室>の日だからです!

 

山形国際交流プラザ(通称ビッグウィング)の3階にあるフィルムライブラリー。月に2回行われる金曜上映会のほか、これまでの映画祭の応募作品を誰でも無料で視聴できます。

今回はドキュ山ユースの高校生も含め、小さな子どもから大人まで9名が参加してくれました。

 

ライブラリー&収蔵庫を探検

みんな集まったところで、まずはライブラリーの探検からスタート。

ここ山形市のフィルムライブラリーには、フィルムや各種デジタル媒体の映像作品や映画関連書籍のほか、年代物の映写機やムービーカメラも所蔵されています。

 

おもーいおもーい昔のカメラ(ゼンマイ式!)は一人じゃ持てないほど。さあ、何が見えるかな?

お次はフィルムの収蔵庫。
1989年に始まった山形映画祭の30年近い歴史、そして世界の映画の歴史がつまっています。

ドアには「関係者以外立ち入り禁止」とありますが、今日は特別に中に入ってみましょう〜

 

デジタル化が進む今日、なかなかお目にかかれなくなったフィルム。その重みを身をもって体験しました。

試写室&映写室を探検

40席の小じんまりとした試写室は、毎月2回行われる<金曜上映会>の会場です。
あんな映画からこんな映画まで、映画祭過去作品を中心に、世界中の貴重な作品が上映されてきました。

そんなスクリーンを、今日は間近で観察してみます。

 

何も写っていないスクリーンをじーっと見ることって、実は新鮮な体験だったり

スクリーンに近づいて、じっくり観察する子どもたち。何かに気づいたようです。

ー  小さな穴が空いている!なんで? なんか目が回りそう

そう、スクリーンの裏側から音を出して、映像と音の一体感を出すためです。

 

続いては映写室に潜入。

劇場の後ろの小さな窓から怪しげな光をのぞかせる、あの部屋ですね。

こちらも普段は立ち入ることのできないお部屋といって、子どもたちはもちろん保護者の方々も興奮の面持ち。

(終了後のアンケートでは、「『ニュー・シネマ・パラダイス』の世界を体験できて感激でした!」との嬉しい感想をいただきました)

 

2台1セットの35mm映写機。巨大な機械にかこまれて、子どもたちはちょっと緊張気味?
小窓に反射して映写室にも光がこぼれます

フィルムにお絵描き

フィルムがスクリーンに映し出される仕組みを体験したところで、いよいよ自分たちの映画を作る時間です。

というわけで別室の作業スペースにやってきました。

今回は透明なものと黒く塗ったもの、2種類の16mmフィルムを用意。
透明フィルムには油性マジックペンで絵を描いて、黒塗りフィルムは削って模様を浮き出させます。

 

1秒間に24コマ、映画の仕組みをレクチャー。高校生も興味津々。

与えられた作業時間は1時間。その間に5秒間の映像を作ります。

ご存知の方も多いかと思いますが、映画は1秒あたり24枚の写真からできています。
パラパラ漫画と同じ原理で、人間の脳は静止画の連続を動画として処理してしまうんですね。

というわけで、今回与えられたミッション、5秒間の映像を作るには、24×5=120コマも必要になるのです!
(そのうち最初の8コマは、作者の目印として名前の頭文字や好きなマークを描きます。)

せっかくなので子どもたちに混ざって僕も作品を作ってみることに。透明フィルムが人気のようだったので、あえて黒塗りのほうをチョイスしてみました。

子どもたちは迷うことなくペンを手に取り、一心不乱に描き始めます。
うーむ、迷いのなさと集中力には脱帽です。

 

夢中①

僕はといえば、5秒でなにを語ればいいのだろう、1コマずつどのくらい動かしたらなめらかな映像になるのだろう、と考えはじめるとなかなか筆(?)が進みません…

とりあえずテーマは魚つりにしようと決めて、マイナスドライバーで黒い絵の具を削り始めました。

 

明かりにかざして途中経過を確認。イメージを膨らませます。

我ながらなかなかの出来栄え、と思いながらも、ここまでまだ40コマ。時間にして2秒弱。
5秒って意外と長い…

周りでは、1つ目を完成された子どもたちが次々と新しい作品に挑戦していきます。

 

夢中②
透明フィルムと黒塗りフィルム。それぞれ5秒間分です。1枚をじっくり仕上げる子もいれば、次々と新しいやりかたに挑戦する子も。

子どもたちに刺激を受けながら、僕もなんとか時間内に1つ作品を完成させることができました。

 

スプライサーという機械でみんなの作品をつないでいきます

スクリーンに映してみよう

あっという間に1時間が経過し、参加者はもう一度試写室へ。

今回は9名の作品を2つのフィルムに分けてつなぎました。それぞれの最初と終わりをつないでループ状にし、エンドレスで繰り返し上映される仕組みです。

 

この日のためにカスタマイズされた16mm映写機

フィルムに描いた小さな小さな絵が、映写機の光を通してどんなふうにスクリーンに映るのでしょうか?

劇場の照明が落とされ、期待と緊張で胸がドキドキ。

映写機がカタカタと音を立て、いよいよ上映が始まりました!

 

透明フィルム:パステルカラーが鮮やか
黒塗りフィルム:シックで重厚な感じ

(映像はこちらから。過去のワークショップの映像もご覧いただけます)

暗闇のなか作品がスクリーンに映し出されると、子どもたちから歓声が上がります。

(必死に削り出した魚がスクリーンを泳ぎ始めた瞬間は、僕も密かに大興奮でした。)

 

ところで、フィルムの端っこには音を記録するサウンドトラックがあるので、そこに描かれた模様は音声に変換されて聞こえてきます。

僕はサウンドトラックの存在を忘れてフィルム全体にお魚の絵を描いてしまったので、絵の一部はスクリーンに映る<像>ではなく、ざらざら、ごわごわ、と聞こえる<音>になってしまいました…

<絵>が<音>に変換されるというのはとっても不思議ですね。

 

最後は2台の映写機で2つのフィルムを同時投影。
2つの映像と音が重なり、予想もつかない像が結ばれました。

 

無作為に重ねられた2つの像。アヴァンギャルド?

 

2台の映写機の前で手を振って、光の束をさえぎる子どもたち。映画って光と影からできているんですよね。

あんなに時間をかけて描いたのに、映像になるとほんの一瞬。でもそのはかなさがまた映画の魅力でもあるのかなと。

最後は長時間露光でちょっと変わった記念撮影。

というわけで、第8回子どもの映画教室はこれにて終了です〜〜

ご参加いただいたみなさん、素敵な笑顔と素敵な作品、ほんとうにありがとうございました。
リピーターも大歓迎ですので、またフィルムライブラリーでお待ちしています!

まとめ

暗闇でスクリーンを見つめる、緊張と喜びが入り混じった子どもたちの表情が印象的でした。今回のワークショップを通じて、ますます映画を好きになってくれたら嬉しいです。

子どもの映画教室は来年も開催の予定です。ぜひ、親子で参加されてみてはいかがですか?

(山形映画祭事務局:遠藤徹)