10月16日

授賞式後の香味庵。多くの映画祭関係者や監督に混ざって、目を輝かせている若い学生を見つけました。
ふたりは東京の大学の同級生。はじめての山形映画祭はどのような体験だったのでしょうか?
気軽に感想を聞くつもりが、ヤマガタとの意外な縁や、作品の講評まで飛び出しました。
ドキュメンタリーの未来を担うふたりにインタビュー!


髙橋耕平さん(左)/水谷駿介さん(右)

Q:映画祭にくるのははじめてですか?

水谷:はじめてです。大学でジャーナリズムを専攻しているんですが、担当の教授からぜひ行け、とすすめられて。ほんとは授業があるんですけどね(笑)。

髙橋:ちゃんと来るのははじめてなんですけど…実は、僕は実家が山形なので、中学生の時に1回、高校の時に1回、親に連れられて映画をみにきたことはありました。だから3回目と言えるかもしれない(笑)。外から見ていて「盛り上がっているなあ」という感じはありましたし、ここ(香味庵)も友人の実家なので、「世界中の監督と話せるすごい空間があるんだよ」と何度も聞かされていました。

Q:へえ!実際に来てみて、いかがですか?

髙橋:すごい、本当に話せるんだなって。監督も関係者もお客さんも一緒になって、みな近い距離で談笑している。想像以上の空間でしたね。僕も拙い英語で監督に質問したりして。

Q:今回は何本ぐらい作品を観ましたか?

髙橋:14日から来たんですが、僕はコンペを中心に12本
水谷:5、6本ぐらいですかね。山形に来て、ドキュメンタリー映画ってこんなに多いんだって思いました(笑)。みたいと思うものが多すぎる。こんなに多いなら、(映画祭を)毎年やってくれればいいのに。

Q:その中で、特に印象に残った作品はありますか?

髙橋:僕の中では『殺人という行為』は頭ふたつ分ぐらい抜きん出ていました。作品の中で主人公たちが映画を作るんですが、そこで彼らは自分たちを正当化しているじゃないですか。監督はそのお手伝いをしながら、自分の映画にする時には展開を変えた。そこがすごい。善悪の基準を「べき論」では語れない映画ですね。

水谷:僕は『リヴィジョン/検証』ですかね。文字通り事件を検証するドキュメンタリーなんですけど、被疑者に音声をかぶせたりして、犯人が分からないように展開が変わって行くさまが面白かった。観る側に考えさせる映画でしたね。あとクリス・マルケルの作品は、とてもウィットに富んでいました!

Q:なかなか鋭い感想ですね。ぜひ、2年後も山形に来て下さい。

水谷:語彙が少なくて申しわけないですけど、ほんとうに「すごい、すごい」としか言いようがない体験の連続でした。これを機にもっともっとドキュメンタリー映画を観たいし、2年後もまた来ますよ!

取材・構成 佐藤 寛朗