寺田さんが会場スタッフを担当したフォーラム山形 (写真提供:寺田悠輔)

【V.V.】ボランティアボイス① 人と作品との出会いがつながる山形映画祭

国際映画祭の雰囲気をいちばん近くで味わえるのがボランティアスタッフ。【V.V.】ボランティアボイスでは、実際に参加された方にお話を伺い、映画祭ではどんな経験ができるのかを少しずつお伝えしていきます。1回目は、ポニーキャニオンでアニメーションや実写映画のプロデューサーとして活躍している寺田悠輔さんです。

_ボランティアに参加したきっかけを教えてください。

大学時代にスタッフとして参加していた大阪の映画祭で山形映画祭のスタッフと知り合ったのがきっかけです。当時から映画や映画館、映画祭、と「映画」に関係することに興味があったので、有名な山形映画祭の雰囲気を感じてみたいと思い応募しました。

_仕事内容はいかがでしたか?

コンペティション部門「アジア千波万波」の上映会場であるフォーラム山形で、会場運営全般を担当しました。お客さんの列整列、場内誘導、モギリのほか、上映後の質疑応答の進行など、いろいろです。僕が参加した2011年は、フォーラム会場では確か1日15作品ぐらいの上映が連日続いたと記憶しています。お客さんの入れ替えだけでもかなり大変でしたが、その分手伝ってくれた他のボランティアの方や、パスを持って何度も足を運んでくれたお客さんと映画の話をする時間もあり、映画好きとして凄く有意義な時間を過ごせました。

 

案内表示の作成なども会場スタッフのお仕事。あたたかい手作り感 (写真提供:寺田悠輔)

 

_寺田さんは現在、アニメーションや映画のプロデューサーを担当されているそうですが、仕事に役立つ経験などはありましたか?

大学卒業後、会社に入ったばかりの頃は宣伝作業の一環としてイベント運営の仕事も多かったので、映画祭での会場運営経験はそのまま役に立った部分が多々ありました。また前回2017年の映画祭では、当時プロデューサーを担当していた『あさがおと加瀬さん。』というアニメーションの、企画上映&トークイベントを開催して頂きました。アニメーション表現とはいえ、現実に繋がっているような作品作りをしたいと考えていたので、「映画と現実がどう重なるか」というドキュメンタリートークを一緒にさせて頂けたのは非常に有り難く、貴重な機会でした。

 

©2018 高嶋ひろみ・新書館/「あさがおと加瀬さん。」製作委員会

 

_仕事の面でも映画祭とは継続的に関わっていらっしゃるんですね。

そうですね。仕事を始めても何度かご縁があり、ご一緒しています。同じく2017年に瀬々敬久監督の実写映画『ヘヴンズ ストーリー』のBlu-ray/DVDを制作させて頂いたのですが、この作品も山形映画祭のスタッフの方経由でプロデューサーの方と知り合い、弊社にパッケージ化を預けて頂いたという経緯がありました。「映画の仕事がしたい」と思って学生時代に映画祭の世界で働いていたので、実際そうした仕事に就いた現在でも山形映画祭とご一緒できていることを、非常に嬉しく思っています。

 

主にアジア千波万波の上映会場となるフォーラム山形の外も会場スタッフで飾り付け (写真提供:寺田悠輔)

 

_今後、映画祭に期待することがあったら教えてください。

ドキュメンタリー映画祭というと固く聞こえがちですが、そんな大仰なものではなく「他者や周囲と向き合うためのヒントが見つかる場所」なのではないかと思っています。また、個人的には高校生の「ドキュ山ユース」の皆さんの活動が、更に盛んになっていくのを楽しみにしています。フォーラム山形の会場運営では、高校生の皆さんに凄く助けられました。映画祭きっかけで映像の世界に入ってくる方もきっといると思うので、そんな皆さんといつか一緒に仕事ができることを楽しみにしています。

_ありがとうございました!

 

■Profile
寺田悠輔(てらだゆうすけ)さん(29歳)
東京都在住。アニメーション・映画プロデューサー。ポニーキャニオン所属。『あさがおと加瀬さん。』『フラグタイム』プロデューサー。『少女邂逅』『ヘヴンズ ストーリー』パッケージプロデューサー。趣味は映画鑑賞と読書。好きな女優は梶芽衣子と岡田茉莉子。

これからボランティアをしたい方へメッセージ

「映画に詳しい人と映画の話をしたい」という気持ちだけで、僕は映画祭の手伝いを始めました。ボランティアというと少しハードルが高いように聞こえるかもしれませんが、最初はそのぐらいの動機でも良いと思います。映画に愛を捧げる人にとって思い出深い体験になるのはもちろんですが、そうでない方にとっても、きっと「映画がこんなに生活や人生を彩れるんだ」ということを知る素敵なきっかけになるのではないかと思います。

寺田悠輔

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