「山の恵みの映画たち2019」
2019年3月15日[金]〜17日[日]
会場:フォーラム山形

山と自然の特集上映まで残り10日となりました。山形市内は春の陽気が続いています。こう天気がいいと、山を歩くか映画をみるか迷ってしまいますね。

さて、会場のフォーラム山形では、昨日(3/4)より「山の恵みの映画たち」関連展示が始まりました。

実行委員が登った山の写真展
映画館はヴンダーカンマー。県「みどり自然課」さんにはご覧のクマ・シカのほか、やまがた百名山関連の展示にもご協力いただいています。

全国に映画館は数あれど、クマとシカとサケがお出迎えしてくれる劇場はそう多くはないのではないでしょうか。

さてさて、作品紹介第2弾をお送りします。土偶、アルプス、ばあちゃん、海、縄文、雪山、味噌づくり、プラスチック…。見どころ満載の4作品です。

「山の恵みの映画たち2019」作品紹介②

『縄文にハマる人々』☆
『緑はよみがえる』
『タイマグラばあちゃん』

『海—消えたプラスチックの謎』☆

「☆」は上映後にゲストトークあり

 


『縄文にハマる人々』

監督:山岡信貴/ナレーション:コムアイ/日本/2018年/103分

◯上映日時:2019年3月15日[金]〜21日[木] 10:00~11:43(1週間続けての上映)
☆3月16日[土] 上映後トーク:山岡信貴(監督)× 金寛美(陶芸家)

(C)2017rtapikcar,inc

なんかヘンだよ縄文人。あんたがヘンだよ現代人。自由で楽しい型破りな縄文ドキュメンタリー、誕生!

 ヘンな土偶、ヘンな土器、ヘンな風習…。縄文って、なんかヘン。でも、縄文人からみれば、現代人のわたしたちこそヘン? 知れば知るほど謎が深まるジョウモンジダイ。わからないからおもしろいジョウモンジダイ。

 そんな縄文の魅力に取り憑かれた人は数知れず。考古学・民俗学の専門家はもちろん、文化人やアーティスト、さらには人工生命研究家まで、謎めいた縄文の世界、自由な縄文の表現にハマる人が続出!

 ある者は縄文の「ギャル度」に熱中し、またある者は縄文人の心に近づくために自分で竪穴住居に住んでみたり。縄文もヘンだけど、縄文にハマる人々も、正直どこかヘン(?)。でも、ヘンだからおもしろい。

 舟形町で発掘され国宝に認定された、あの「縄文の女神」も作中に登場。山形県民、必見です! 東北の原風景は縄文時代にあった? 縄文時代はまだ終わっていない?

 「死なない子供、荒川修作」の山岡信貴監督による、規格外のドキュメンタリー。ナレーションには「水曜日のカンパネラ」のコムアイ。型破りな縄文ドキュメンタリー、ここに誕生です。

☆3月16日[土]の上映後には、監督にご来場いただきゲストトークも。対談のお相手には、縄文の女神のふるさと舟形町で縄文焼きを実践する、陶芸家の金寛美さん。縄文の不思議な魅力を語り尽くしていただきます!

*『縄文にハマる人々』には2D版と3D版があります。3月16日[土]は3D版での上映です。前売り券をお持ちの方も、別途3D鑑賞料金とメガネ代(持ち込みの方は無料)が必要となりますのでご注意ください。また、3月15日、17日〜21日の上映についても3D版上映となる場合がございますのであらかじめご了承ください。

映画「縄文にハマる人々」公式サイト
http://www.jomon-hamaru.com

 


『緑はよみがえる』

監督:エルマンノ・オルミ/イタリア/2014年/76分

◯上映日時:2019年3月16日[土] 18:00~19:16

美しい雪原に眠る戦争の記憶。名匠エルマンノ・オルミが亡き父に捧げる、尊厳と慈しみの物語。

 1917年冬、第一次世界大戦下のイタリア・アルプス。雪に閉ざされた一面の銀世界に、イタリアとオーストリアの両軍が塹壕を掘って向かい合う。互いに息を潜めて沈黙を守る両軍。塹壕の外に足を踏み出すことはすなわち、敵軍の狙撃兵に命を差し出すことを意味した。

厳しい寒さに時間すら凍りついたように、戦況は膠着している。見えない敵に怯え、死と隣り合わせの状況の中で、兵士たちは故郷の歌を唄い、家族や恋人から送られる手紙に安らぎを求める。そんな前線に、若い中尉が本部からの命令をたずさえて送られてくる。それは戦場の実情も兵士の尊厳も無視した、あまりにも不条理な命令だった…。

『木靴の樹』(78)でカンヌ国際映画祭パルムドール、『聖なる酔っぱらいの伝説』(88)でヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞したエルマンノ・オルミ。本作『緑はよみがえる』は、常に弱者に寄り添い現代社会に警鐘を鳴らしてきたイタリアの名匠が、第一次大戦勃発から100年後の2014年、亡き父の記憶を引き継ぎ完成させた渾身の一作。

本作の撮影は、オルミの父が実際に従軍したアジアーゴ高原で行われた。時にマイナス30度に達する極寒の中撮影されたという銀世界には、近寄りがたい神々しさすらただよう。

降り積もった雪は、いずれ春がくれば、大地を潤し、木々や水辺の生き物に恵みをもたらすだろう。しかし映画という永遠の時間の中では、雪はあくまで冷たく、雪原はどこまでも続く。

 


『タイマグラばあちゃん』

監督:澄川嘉彦/プロデューサー:伊勢真一・菅原淳一/日本/2004年/110分

○上映日:2019年3月16日(土)20:00〜21:50

早池峰の山ふところに抱かれたばあちゃんとじいちゃんの豊かな日々、15年間のいのちの記録。

 この作品を最初に見たときの気持ちを未だに忘れない。もちろんシーンの細部はだいぶ忘れているけれど、キモチが体の奥に残っている。「ああ、こんな風に生きられたら」というすこぶる気持ちの良い羨望、そして幸福感。「そうだ、人生は素晴らしい」と。

岩手県のほぼ真ん中にある早池峰山(はやちねさん)の麓に「タイマグラ」と呼ばれる小さな開拓地がある。

太平洋戦の後10軒あまりの農家がそこに入植したが、東京オリンピックの頃にはほとんどの家が山を去り、向田(むかいだ)久米蔵・マサヨさんの二人だけとなった。

それから20年あまり後の昭和63年、畑仕事にいそしむ向田さん夫婦の静かな暮らしに二っの事件があった。ひとつは夏に久しぶりのお隣さんができたこと。 大阪出身の若者(奥畑充幸さん)が開拓農家の残した空き家を借りて住み始めたのである。もうひとつは、年の瀬になってタイマグラに電気がひかれたこと。昭和の最後に灯った明かりであった。

自分が畑で育てた大豆を使っての豆腐作り、「お農神さま」への信仰、春一番の味噌作り、土に生きる素朴な暮らしぶりにかわりはないが、マサヨばあちゃんの 歳月にはさまざまな出来事が起きてゆく・・・。

ここからはもう言葉で書かない方がいいだろうな。映画で、しかもスクリーンでしみじみと味わってほしいです。

もう春ですね、この季節に『タイマグラばあちゃん』を観られることに、あらためて感謝したい。
今年こそ、タイマグラに行こう。

最後にばあちゃんの気持ちを伝えます。

「われの心から山は絶えねえ、忘れることはできねえ、山は。夢にもみている、山は。どこも夢にみないが、タイマグラは夢にもみる。きれいだよ、この花が咲けば。花が咲けば豊作。」

 


『海—消えたプラスチックの謎』

監督:ヴァンサン・ペラジオ/フランス/2016年/53分

◯上映日:2019年3月16日[土] 15:40~16:33

海に流れ込んだプラスチックごみの行方を、世界の科学者たちが追いかけます。

 豊かさや恵みをもたらす生命の源。この海でいま、小さなプラスチックが大きな問題を引き起こしていることを、ご存知でしょうか?

毎年800万トンものごみが海に流れ込むと言われます。そのうち、行方が分かっているのは、全体のわずか1%。では、大部分のごみはどこに行ったのでしょうか? この疑問を出発点に、世界の研究者を追いかけます。

ペットボトル、ビニール袋、使い捨ての容器…プラスチックは、私たちの生活のあらゆるところに存在しています。そして、安くて丈夫という性質がゆえに、今日のように広がってきました。しかし、プラスチックごみとなると、この性質が裏目になります。つまり、分解されにくいごみが大量に発生してしまうということです。

海を漂うプラスチックは、波などの物理的な作用で、やがて細かく砕かれます。それがマイクロプラスチックです。このプラスチックの破片が、どのように動き、どういう作用をするのか、判っていることは決して多くはありません。小さなプラスチックの破片は、海洋のいたるところに流れるでしょう。また、生物が食べてしまわないとも限りません。そう考えると、食物連鎖の上位にいる私たちにとって無関係ではない話です。

ある研究者が語ります。「ポリ袋は味付けして食べろ。だっていつかは食卓に戻ってくるんだから」と。この皮肉をむず痒く受け取れる今のうちに、何か打てる手はないのでしょうか?

なお、当作品の上映後、トークセッションを設けております。酒田市で海ごみ問題に取り組む金子博氏(NPO法人 パートナーシップオフィス 理事)をお招きし、庄内の海岸でのプラスチックごみの現状も考えていきます。上映と併せてご参加ください。 (文責:実行委員 松木兼一郎)


いかがでしたでしょうか? 前売り券は劇場窓口で好評発売中です。ぜひお早めにお求めください。

文責:映画祭事務局