11月9日[金]〈山形ドキュメンタリー道場 2018〉

東南アジアの映画作家が蔵王に滞在し、作品に磨きをかける「山形ドキュメンタリー道場」に参加中の監督をお招きしての特別上映会。マレーシア各地の独立・革命運動の歴史を探るノーヴァ・ゴー監督の『赤道雨』。インドネシアの新婚夫婦が、家族の強い絆とアイディアで困難を乗り越えようと頑張る『デノクとガレン』。2本立てでの上映です。もちろん上映後には監督たちによるトークもあります!

 

『赤道雨』 15:00-(1回上映 ※開始時間注意)

『赤道雨』

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2011 アジア千波万波 上映作品

監督:呉康豪(ノーヴァ・ゴー)/マレーシア、台湾/2010/132分

作品紹介:

母からの手紙で、親戚の過去と、故郷ボルネオ島で革命運動が起きていた事実を知った監督。マレーシア各地での独立運動、その後、革命運動に身を投じた元闘士の話を掘り起こし、忘れ去られていた歴史を明らかにしていく。回想と並行し、当時の山中での軍事訓練と生活を記録したプライベート・ビデオからは、今では普通の生活を送る彼らの青春が蘇る。侵略の歴史の舞台を引用しながら、赤道直下に生きる華人アイデンティティを探る。

 

『赤道雨』

監督のことば:

私は自分のことを、映画監督というより、むしろコレクターだと思っている。ただし、物を集めるのではなく、物語を集めるコレクターだ。そんな私のカメラの前に現れた共産主義者たち。彼らの物語のなんとすばらしいことか! 半世紀もの間、続いていた革命という動乱の時代にあっても強い信念を持ち、美しい夢を心から信じていた。失敗に終わったが、時の流れの中には、美しい何かが残されてきた。彼らは道を行く普通の人々とまったく変わらないように見える。しかし、彼らの目をのぞきこむと、違いがそこにはある。絶対に彼らから奪うことのできない何かがそこにあるのだ。彼らは、人知を超えたスペクタクルを経験した。

どんな革命においても、「すばらしい世界」を実現することはできない。しかし、どのような革命でも、すばらしい何かを生みだすことができる。そして革命が終われば、そこにはすばらしい思い出が残る。人々が革命を信じているかぎり、決して消えることのない思い出だ。

呉康豪(ノーヴァ・ゴー)

 

『赤道雨』

 

『デノクとガレン』 18:40-(1回上映 ※開始時間注意)

『デノクとガレン』

山形国際ドキュメンタリー映画祭 2013 アジア千波万波 上映作品

監督:ドゥウィ・スジャンティ・ヌグラヘニ/インドネア/2012/89分

作品紹介:

14歳で家出をしたデノクは、妊娠した後にガレンと出会い、結婚する。大都市を離れ、夫の実家で家族と一緒の生活を始めた若い夫婦は、心機一転、養豚ビジネスを始める。借金を残して出奔したガレンの父、子どものしつけや教育費、次々と起きる問題に頭を悩ませながらも、夫婦兄弟それぞれがとことん話し合い、ユニークなアイデアで解決しようと頑張る。ときには本気の喧嘩をしながらも、強い絆で結ばれた一家は、どこか楽天的な雰囲気に満ちている。

監督のことば:

私は個人的に、デノクとガレンの人生からたくさんのことを学んだ。愛する気持ち、次から次へと襲ってくる問題を受け入れ、正面から立ち向かう姿勢。そして自分自身と自分の人生を笑い飛ばす勇気。そのような勇気を持つ人は多くない。自分を笑うという行為は、自分の人生をはるか遠くから客観的に眺めることを意味する。だからこそ私は、デノクとガレンを賞賛せずにはいられない。彼らが日々苦闘する姿は観客に届けられるべきだ。彼らの勇気は、彼らふたりを、心を込め誠実に描いた映画を通して、観客と共有されるべきだ。私はデノクとガレンを、私たちの知覚の中枢へと送り込みたい。なぜなら、彼らのような存在は、近くにいても多くの場合、見過ごされてしまうからだ。

ドゥウィ・スジャンティ・ヌグラヘニ

 

『デノクとガレン』

 

[会場]山形ドキュメンタリーフィルムライブラリー試写室
[料金]鑑賞会員無料(入会金・年会費無料)
[主催]認定NPO法人 山形国際ドキュメンタリー映画祭
[問い合わせ]電話:023-666-4480 e-mail:info@yidff.jp