台風の影響で到着が大幅に遅れたものの、無事山形に到着した『イサドラの子どもたち』のダミアン・マニヴェル監督。当初の上映予定から変更となり、10月14日の20時45分スタートという夜の上映でしたが、客席は多くの人の熱気で溢れていました。上映後に行われたQ&Aの様子をここで少し紹介します。

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ーー監督はもともとダンサーだったとのことですが、この“イサドラ・ダンカン”というテーマはどこで思いついたのでしょうか。

マニヴェル:私は映画を作るようになってから、常にダンスについての映画を作りたいと思っていました。ダンスについて多くの記憶や感覚などを覚えており、伝えたいことを多く抱えていたようです。最初に出てくる赤毛のダンサーと振付家と一緒に練習のために即興のダンスをした時、彼女の腕の動きがイサドラ・ダンカンの作品によく似ていると振付家が指摘したのです。その振付家と話すうちに、この映画はパーソナルな作品になると同時に非常に大きな幅を持った作品になるだろうと直感しました。

 

―映画の中では、青のインクや衣服など多くのものにブルーが使わているように感じました。意図的に色彩に統一感を与えたのでしょうか?

マニヴェル:私の映画はとても直感的な作り方をしています。実は私も制作の途中になって初めてブルーが多いことに気づきました。一方でイサドラ・ダンカンもブルーのカーテンがついたスタジオを使用していたり、”Mother”に関することだと波などブルーと繋がりがあります。そこで自分でもブルーに気がついた時に意識的にブルーを徹底的に使おうと思い、秋という季節を設定しました。秋の映画でなければならないと確信していました。

 

―どこまでがステージされていたのでしょうか?

マニヴェル:私の作る映画は、いつもごちゃまぜです。フィクションもドキュメンタリーも決めておらず、区別をして欲しくないのです。

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100年前のダンスの動きを一人だけに踊らせてはいけないと思ったというマニヴェル監督。一世紀前のものを再現するだけでなく、身体も衣装も当時とは何もかも違う現代の女性4人にどのように翻訳され、どのように再生されるかが重要だと考えたそうです。

映像が残っていないくらい昔のダンスを、チャート表を手掛かりに踊る現代女性たち。繊細でありながら、どの画も力強く美しい作品で、監督のダンスへの強い思いが感じられました。