7月29日[日]に山形県郷土館「文翔館」の緑地スペースにて、山形国際ドキュメンタリー映画祭 2019 のプレイベント兼やまがた市民映画学校企画として「ドキュ山フェス 劇場は星夜にて」と題した野外上映会を開催しました! 今回の上映会も、映画祭の高校生ボランティアチームであるドキュ山ユースと一緒に企画立案を行い、上映作品選びも高校生たちが担当しました。

 

YIDFF 2019 プレイベント × やまがた市民映画学校:「ドキュ山フェス 劇場は星夜にて」

立つか!? 大型スクリーン!

今回ははじめての野外上映会ということで、できるだけ大きなスクリーンをと思い、400インチのものを用意しました。しかし、当日にいざセッティングという段になっても、前夜まで列島を駆け回った大型台風の影響による強い風がやみません。思い切って立ち上げてみましたが、スクリーン生地自体が風をはらみ、まるで船のマストのようで大人10人がかりでも支えるのが精いっぱいで、自立させることは到底できそうにありません。

 

ようやく立ち上がったスクリーン。まともに風をうけて、支えるのがやっと

何度か、風の状態を見ながらチャレンジしてはみたものの、用意した600Kg分のウエイトをもってしても倒れる危険性を払拭できませんでした。立てては寝かせ、立てては寝かせを繰り返しているうちに、イベント開始時間の午後5時が近づき、泣く泣く大型スクリーンを立てることは断念せざるを得ませんでした。

 

次の機会には必ず実現させたい大型スクリーンへの上映

「ドキュ山フェス」スタート!

天候に右往左往させられるのも、野外上映会の醍醐味。雨に見舞われなかったことがこそ幸いと気を取り直し、さあ「ドキュ山フェス」のスタートです。

 

ワークショップ参加者の皆さん。コマ撮りと国際理解、それぞれの組に分かれて受付

まずは、コマ撮り映像ワークショップと国際理解ワークショップの二本立て。大人から小さいお子さんまでご家族そろって楽しんでいただきました。コマ撮り映像ワークショップには、山形の冬の風物詩である樹氷をPRする大人気ゆるキャラじゅっきーくんが登場。参加してくれた子どもたちと一緒に、トリック撮影を駆使して映像で遊びました。

 

ストップモーションアニメで地球儀も宙に浮く

 

樹氷のじゅっきーくんといっしょ

 

文翔館議場ホールの暗闇を利用してピカピカ撮影

 

文翔館正面広場を縦横に使って屋外でも撮影

 

楽しく映像で遊ぶことができました。出来上がりが楽しみ

「じゅっきーくんと映画をつくろう」完成作品はこちらからご覧いただけます。

 

国際理解ワークショップは、国際協力NGOであるIVY(アイビー)のユース組織IVY youthの皆さんをファシリテーターに迎え、「世界がもし100人の村だったら」を行いました。参加者それぞれに分配されたビスケットをそれぞれの国の「富」に見立て、貧富の格差を体感。山形市内の高校生はもちろん、ガールスカウトの子どもたちも参加してくれて、こちらもとても賑やかなワークショップとなりました。

 

国際理解ワークショップ「世界がもし100人の村だったら」

 

「富」に見立てたビスケットをそれぞれの国と地域ごとに分配

 

IVY youthのみなさんによるファシリテーション

 

上映の前にカンボジアについての理解を深めるプレゼンテーション

アジアン屋台も出店! ワークショップを楽しんだ後はアジアンフードに舌つづみ

会場となった山形県郷土館「文翔館」の敷地内にキッチンカーを配置して、ワークショップ後、空が暗くなるまでのしばしの間、ちょうどお腹もすいてきたところでディナータイム。冷たいフォーやアジアンな味付けのスパイシー唐揚げなどをアジアン屋台ニコル食堂さんに提供していただきました。一時は長蛇の列ができるほどの盛況ぶりで、ご来場いただいた皆さん、舌の上でも異国の雰囲気を味わっていました。

 

アジアン屋台ニコル食堂さんのキッチンカー

いよいよ野外上映のはじまりです!

上映開始予定時間の午後7時を回り、あたりも薄暗くなってきたところで、ドキュ山ユースの司会進行で上映会がスタート。今回上映することになったカンボジア作品『どこに行く』について、その作品セレクションに込めた高校生たちの想いを、まずはみなさんにお伝えしました。急遽、少し小ぶりのスクリーンを設営してみましたが、大正時代の趣きを残す擬洋風建築の「文翔館」を背景にすると、レンガづくりの程良い雰囲気の中によく映えます。

 

『どこに行く』の作品紹介

 

程よく陽も落ち、雰囲気も上々

上映作品『どこに行く』

今回の上映作品は昨年の映画祭で上映されたカンボジア作品です。肌の黒い私生児として差別されて育った18歳の青年パティカ。自身のアイデンティティを求める心の旅路を柔らかな眼差しで描いた珠玉作です。主人公が18歳ということもあり、高校生が共感する部分が多く、ドキュメンタリー映画に馴染みがない人にとってもわかりやすく、心に響く作品ということで今回の上映作品に選ばれました。ドキュ山ユースのメンバーたちが街頭や各高校の校門でチラシ配りをしたり、友達などを誘ったりしてひと月ほどの間に集客につとめた結果、当日は20人以上の高校生たちが足を運んでくれました。その高校生たちが食い入るようにスクリーンを見つめる様子がとても印象的で、作品から何らかの感情を受け取ってくれたことは、上映後のアンケートに映画の感想をたくさん書き連ねてくれたことからもうかがえました。

 

『どこに行く』の一場面

ドキュ山ユースからコメントが届きました!

ドキュ山ユースのメンバーから、今回の野外上映企画をやってみての感想が届きました。

 

今回は初めて野外で上映会をしました。台風の影響で事前に準備していた大きなスクリーンを立てられなかったことが残念でしたが、野外で出来たことがとっても嬉しかったです。 会場には大人や子供、年齢関係なく様々な方がいらっしゃって、ドキュメンタリー映画を幅広い年代の方に知ってもらえて良かったと思っています。 野外上映会が今回限りというのは寂しいので、これからも続けていきたいと思っています!  ご来場いただいた皆さん本当にありがとうございました!

ドキュ山ユース 寒河江瑞希さん

 

自分は当日のみの参加でしたが、他のメンバーが準備してくれていたお陰で今回の上映会が成功できました。今回、私達が期待していた高校生は20人ほど来てくれてよかったです。映画は若い人の感性が極めて重要です。ドキュメンタリー映画を若い人に広めることは山形の映像芸術の発展に大いに寄与すると思います。そして、今回は私達若者自らの手でドキュメンタリー映画を広めることができたと思います。これからも上映会をしていきます。その時はまたお知らせしますね!

ドキュ山ユース 菊地大雅さん

 

ドキュ山ユース(前列)。IVY youthの皆さんと一緒に(後列)

 

今回のプレイベントで、これまで山形国際ドキュメンタリー映画祭に参加したことがなかった人たち、特に高校生以下の若者たちにも、その魅力や楽しみ方を伝えられたのではないでしょうか。来年の映画祭がさらに賑やかになることを願っています。これからもドキュ山ユースの活躍は続いていきますので、ぜひご期待ください。

 

(文責:山形映画祭事務局)