6月30日[土]に山形まなび館にて金曜上映会土曜出張版として〈8mmフィルム映画祭〉を開催しました!

上映作品は「パーソナルフォーカス 東京 + 山形セレクション」

「パーソナルフォーカス」は映像作家松本俊夫の映像個展に衝撃を受けた若者たちが1977年に設立した映像作家/上映集団フィルム・メーカーズ・フィールド(FMF)が1978年にスタートさせた8mm映画の上映会です。その「パーソナルフォーカス」に、新作8mm映画上映会「サヴァイヴァル8」からセレクトされた東京と山形の出品作も加え、今回の上映では、総勢34人の映像作家による全37作品をオリジナルの8mmフィルムで回しました。

 

スクリーンや機材を持ち込んで8mm映画上映会にぴったりな会場に

会場は山形まなび館地下シアタールーム

会場となった山形まなび館地下交流ルーム7(通称シアタールーム)には、かつて昭和の時代から山形県民に親しまれた映画館、今はなきシネマ旭の椅子が据付けられています。そしてこの山形まなび館自体も、昭和2年に建設された旧山形市立第一小学校(国登録有形文化財)を改装したものですので、山形県下初という鉄筋コンクリート造校舎の歴史的な趣が随所に見え隠れします。地下のシアタールームは30席程度の小さな会場ですが、8mm映画という〝おもちゃ箱〟をひっくりかえすにはピッタリの空間でした。

当日は用意した座席が程よく満席になるくらいのお客さん方にいらしていただきました。金曜上映会のご常連さんから、東北芸術工科大学の学生さんなどお若い方々まで、幅広い年齢層のみなさんにご来場いただきました。

 

東北芸術工科大学映像学科教授の加藤到さんから簡単にこの企画の説明があった

8mm映画祭、はじまります

上映に先立ち、今回のプログラムに出品している東北芸術工科大学映像学科教授の加藤到さんから、簡単に上映作品の紹介がありました。観客のみなさんには、上映作品タイトルと作家名、作品紹介が記された資料をお渡ししました。説明もほどほどに早速に上映開始です。

 

「パーソナルフォーカス 東京+山形」より 黄木可也子『Good morning to you』

50フィート、3分間の魔法

持ち込んだスクリーンに、次から次へと多種多用な表現が現れては消え、現れては消え、時にじっと息を殺しながら食い入るように画面を見つめる観客のみなさんの気配が小さな空間に充満していました。ポエティックで哲学的、かと思えば愛嬌があったり、素直に「美しいなぁ」と感嘆させてくれたり、そして思わず声を上げて笑ってしまったりと、1作品約3分間の映像に詰まった表現の数々は、映画が光と影の集合体であることを改めて気づかせてくれる不思議で面白いものばかりでした。

フィルム尺50フィート、3分間が終わるごとに、次はどんな作品がスクリーンに映るのかとカタカタと映写機が回る音を聞くのも、この上映企画の醍醐味ですね。

 

上映後のトークの様子。右奥から黄木優寿さん、黄木可也子さん、加藤到さん、水由章さん

8mmフィルムは〝滅びゆくメディア〟?

途中に10分程度のトイレ休憩をはさんで全37作品を上映し終えた後、東京からわざわざこの上映のために駆けつけくださった映画作家の水由章さん、そしてこの上映会で映写を担当してくれた映像作家の黄木優寿さん、黄木可也子さん夫妻を交えて、今回の出品作家たちによるざっくばらんなトークを行いました。

8mm映画、個人映画をつくることの面白さやそこにある発見などなど、様々なお話が飛び出しました。なかでも印象的だったのは、加藤到さんが作った『滅びゆくメディアのために』という今回の上映作品についてのお話。制作した1986年当時に8mm映画は〝滅びゆくメディア〟だったにもかかわらず、それから30年以上経過しても尚、いまだに〝滅びゆくメディア〟として8mm映画が生き残っていることが驚きであり、それだけ根強く愛されているメディアだということでした。

また次回の8mm映画企画にご期待ください!

遊び心満載の8mm映画の〝おもちゃ箱〟をひっくり返したかのような上映会は、和やかで楽しいひとときとなりました。ご来場いただいたみなさん、また遠路はるばる駆けつけていただきました水由章さん、ありがとうございました。

 

文責:山形映画祭事務局