「銀幕よ甦れ! やまがた映画館異聞録」

我々の映画体験は、いつ、どこで、どのように鑑賞したかという上映の場所の記憶と切り離すことができない。本映画祭はこれまで山形という土地で、文字通り二年に一度の祭りとしてそのことを示し続けた。

このプログラムでは、「世界一の映画館」と言われながらも歴史的な大火の火元となった酒田市の伝説的映画館グリーン・ハウスをめぐる上映と展示、また、脚本家伊藤和典の実家である上山トキワ館にて撮影された押井守監督の実写作品の上映という、今はなき山形の二つの映画館についての企画を通して、我々と映画と地域を繋ぐ場所、映画館のマジックを浮かびあがらせる。

世界一と言われた映画館 ~酒田グリーン・ハウス証言集~

監督:佐藤広一/日本/2017/日本語(一部モノクロ)/Blu-ray/65分
会場:M2 山形美術館2
※入場無料 ※英語字幕、同時通訳なし
トーク登壇者:飯野昭司(庄内ドキュメンタリー友の会)、仲川秀樹(社会学者)、佐藤良広(映画サークル85代表)、成田雄太(映画文化研究者)ほか

 

紅い眼鏡[フランス語字幕版]
The Red Spectacles

監督:押井守/日本/1987/日本語/モノクロ(一部カラー)/35mm/116分
会場:F4 フォーラム4 ※英語字幕、同時通訳なし

トーキング・ヘッド
Talking Head

監督:押井守/日本/1992/日本語/カラー/35mm/105分
会場:F5 フォーラム5
※英語字幕、同時通訳なし
トークゲスト:伊藤和典(脚本家)、上野俊哉(評論家)

あれから10年:今、佐藤真が拓く未来〜全作上映とトーク

日本のドキュメンタリー映画界を代表する映画監督・佐藤真が突然この世を去って、早くも10年。
一作ずつ手法を変え、常に新たな映画表現を切り拓きつつ、著作ではドキュメンタリー映画の歴史・哲学を大いに語り、映画思想の最前線を走り続けました。

没後10年を迎え、そんな佐藤監督の映画人生が本映画祭と密接に絡んでいたという事実が明らかになってきました。また最近は、佐藤監督を直接知らない若い世代の中に、彼の作品や著作を通して大きな影響を受け活動する人たちが次々と生まれています。本特集上映が、佐藤真監督の仕事を更に新たな未来へと繋げていくきっかけになればと思います。

阿賀に生きる

監督:佐藤真/日本/1992/日本語/カラー/16mm/115分/YIDFF ’93 インターナショナル・コンペティション優秀賞
会場:M2山形美術館2 ※トークあり

まひるのほし

監督:佐藤真/日本/1998/日本語/カラー/35mm(16mm)/93分
会場:M2山形美術館2 ※トークあり

花子

監督:佐藤真/日本/ 2001/日本語/カラー/35mm(DVCAM)/60分
会場:M2山形美術館2 ※トークあり

我が家の出産日記

監督:佐藤真/日本/1994/日本語/カラー/ビデオ/45分
会場:M2山形美術館2 ※トークあり

おてんとうさまがほしい

構成・編集:佐藤真/日本/ 1994/日本語/カラー/16mm/47分
会場:M2山形美術館2 ※トークあり

SELF AND OTHERS

監督:佐藤真/日本/2000/日本語/カラー/16mm/53分
会場:M2山形美術館2 ※トークあり

阿賀の記憶

監督:佐藤真/日本/ 2004/日本語/カラー/16mm/55分
会場:M2山形美術館2 ※トークあり

エドワード・サイード OUT OF PLACE

監督:佐藤真/日本/ 2005/日本語・英語・アラビア語・ヘブライ/35mm(DVCAM)/137分
会場:M2山形美術館2 ※トークあり

ディスカッション

『阿賀に生きる』とヤマガタ
登壇者:旗野秀人(『阿賀に生きる』仕掛け人)、小林茂(『阿賀に生きる』
撮影)、桝谷秀一(YIDFF理事)、倉田剛(「山形映画祭を味わう」著
者)、神谷丹路(佐藤真妻/韓国文化研究家)他
YIDFF’91での『阿賀に生きる』幻のラッシュ上映時の記録映像編集版約20分 の上映付き

海外から見た佐藤真
出演:マーク・ノーネス(ミシガン大学教授)、秋山珠子(立教大学講師)
特別上演
ドキュメンタリー演劇「エヴェレットゴーストラインズ Ver. B「顔」山形
特別版」(演出:村川拓也)

佐藤真に出会う新世代
出演:川崎那恵/小森はるか/和島香太郎/岡本和樹/我妻和樹/川上拓也
/石田優子/清田麻衣子/小谷忠典 他
会場:KU KUGURU

やまがた映像の未来

東北芸術工科大学映像学科では、一年生の後期にドキュメンタリー演習として、ビデオカメラによるインタビュー撮影の基礎を全員に必修で履修させている。

当初は技術的な習得を中心に考えられたカリキュラムだったが、実際に全員が一つの同じテーマでインタビューするという企画は思いのほか興味深い結果をもたらしてくれた。

一般的に自己中心的で社会性が弱いと言われている若者たちだが、独自にアポイントを取って取材してくる映像は、一人2分ほどの短い断片でしかないのだが、数十人の思いが合わさった映像には不思議な説得力が芽生えてくるようだ。この感覚を知った学生の中から、本格的なドキュメンタリストが登場することを期待したい。

Live Life Love 〜生きる手ごたえ感じてますか〜

制作:東北芸術工科大学映像学科2016年度1年生/日本/2017/日本語/カラー/BD/112分
会場:M2 山形美術館2

映像文化創造都市山形を目指して

芸術や文化の持つ創造性を街づくりに活かす。そんな創造都市を目指す山形市が、映像製作を通して山形の魅力や営みを見つめ直し、あらためて内外に発信する取り組みを行っている。
今回は、2015~2016年の間に、山形に因んだ若手作家や学生により製作された短編映画を上映する。

山形鋳物~暮らしのデザインを求めて

監督:渡辺智史 監督:渡辺智史 /日本 /2016/24分

山形打刃物~生活の中道具

監督:佐藤広一 /日本 /2016/22分

映像と向き合う生方~卒業が触れる芸工大の今

監督:伊藤憲吾 /日本 /2017/39分

HARD BOILED CITY YAMAGATA

東北芸術工科大学製作/日本 /2016/20分
会場:M2 山形美術館2