見どころ

アラブに関する映画の特集として3回目となります。
第1部では、60年代末にはじまる世界的革命運動/闘争の中で、世界の映画人が、イギリス統治下の1930年代にまで遡る「パレスティナ革命」に共鳴して作った「ミリタント映画」を特集。
「ミリタント映画」関係者によると、このテーマの特集としては国際的にも充実したラインナップ。のちにその時代を考察した作品も上映。革命史的映画史的にみどころが多く、映画そのものも楽しめます。

第2部では、日本ではまだあまり知られていないものの、アラブを代表するレバノンの映画作家であるジョスリーン・サアブの詩的/私的エッセイフィルムのベイルート3部作、レバノン内戦のあらゆる主要人物が登場する作品、またレバノンに関する映画フッテージを集め娯楽作品として再構成したサアブの代表作を上映。サアブはインターナショナル・コンペティションの審査員でもあります。

上映会場:山形市民会館 小ホール

関連イベント

10/7(土)16:25-
『赤軍——P.F.L.P・世界戦争宣言』上映後に足立正生とパレスティナの映画監督ムハンナド・ヤークービのトークを予定。ヤークービが運営メンバーであるSubversive Filmの取り組む「ミリタント映画」アーカイブ活動や、足立が半生を捧げた「パレスティナ革命」と「ミリタント映画」の関わりについて語りあいます。

10/7(土)19:20-
『騒乱のレバノン』上映後ジョスリーン・サアブによるQ&A

10/9(月・祝)19:20-
『昔々ベイルートで』上映後ジョスリーン・サアブによるQ&A

第1部:パレスティナ革命とミリタント映画

ファタハ:パレスティナ
Fatah: Palestine

監督:ルイジ・ペレッリ
イタリア/1970/イタリア語/モノクロ/デジタル・ファイル(オリジナル16mm)/75分

ファタハ(パレスティナ民族解放運動)に焦点を当てパレスティナ革命の歴史を辿ったテレビドキュメンタリー。

オフ・フレーム/勝利まで
Off Frame aka Revolution until Victory

監督:ムハンナド・ヤークービ
Palestine, France, Qatar, Lebanon/2016/アラビア語、英語、フランス語、イタリア語/カラー、モノクロ/デジタル・ファイル/62分

1〜7のフッテージを使って構成した作品。80年代生まれのパレスティナ人映画作家ムハンナド・ヤークービが”いま”の視点でミリタント映画を考察する。

赤軍-PFLP世界戦争宣言
Red Army / PFLP: Declaration of World War

監督:若松孝二、足立正生
日本/1971/日本語/カラー/デジタル・ファイル(オリジナル16mm)/71分

足立正生が若松孝二とともに制作した世界革命運動のための“ニュースフィルム。” 抑圧された人民解放に向けた武力闘争を説くプロパガンダが前衛的手法で展開される。

勝利まで/われらパレスティナ人
Revolution until Victory aka We are the Palestinian People

監督:パシフィック・ニューズリール
アメリカ/1973/英語/モノクロ/デジタル・ファイル(オリジナル16mm)/52分

アメリカで複数存在したニューズリール・グループのうち、カリフォルニアを拠点としたニューズリールが毛沢東思想に基づきシオニズムとパレスティナ抵抗運動の歴史を描く。シオニズムとホロコーストの関係についての言及があり興味深い。

オリーブ
L’Olivier

監督:グループ・シネマ・ヴァンセンヌ
フランス/1976/フランス語、英語、アラビア語、ヘブライ語/カラー、モノクロ/デジタル・ファイル
(オリジナル16mm) /83分

1972年のミュンヘン事件を機にパレスティナに対する公的支援が消えつつある中で、現状に対する懸念の表明として制作された作品。グループは毛沢東主義をとり、60年代末よりミリタント映画制作の手法に関する議論を『カイエ・ド・シネマ』上で展開し、『オリーブ』でその理論を実践に移した。

100通りの1日
One Hundred Faces for a Single Day

監督:クリスチャン・カージー
レバノン/1971/フランス語、アラビア語/モノクロ/デジタル・ファイル(オリジナル16mm) /65分

カージーは、PFLP(パレスティナ解放人民戦線)からDemocratic Front(パレスティナ解放民主戦線)結成に参加。本作は実験的手法でプロパガンダを表現した劇映画。

第5の戦争
The Fifth War

監督:サミール・ニムル、モニカ・マウラー
ドイツ、イラク/1979/英語、アラビア語/カラー/デジタル・ファイル(オリジナル16mm)/65分

レバノン内戦中の1978年イスラエルがレバノン南部を襲撃した「リタニ作戦」に焦点をあて、パレスティナ革命を解き明かす。パレスティニアン・フィルム・インスティテューション製作。案内役として俳優のヴァネッサ・レッドグレイヴが登場する。

クフル・シューバ
Kufur Shuba

監督、編集:サミール・ニムル/イラク、レバノン/1975/アラビア語/36分

日本で発見されたミリタント映画(16mm)。調査の一環として参考上映する。

シャティーラのジュネ
Genet in Shatilah

監督:リヒャルト・ディンド
スイス/1999/英語/カラー/DVD/98分

ジャン・ジュネによる1982年のシャティーラ難民キャンプ虐殺についてのルポルタージュ『シャティーラの四時間』と86年に著した『恋する虜 パレスチナへの旅』からの引用で構成された作品。英語版の朗読は2001年の映画祭で特集したアメリカの映画作家ロバート・クレイマー。

ヒア&ゼア こことよそ
Here and Elsewhere

監督:ジャン・リュック・ゴダール、アンヌ・マリー・ミエヴィル
フランス/1976/フランス語、アラビア語/カラー/Blu-Ray/53分

テレビをみつめるフランス人家族のいる1976年の”ここ”とパレスティナ革命が進行する1970年の”よそ”。ゴダールは、イメージと音を繰り返し提示することで”イメージ”と”イメージされるもの”のずれを再考しつつ映画を模索する。

第2部:ジョスリーン・サアブのレバノンそしてベイルート

ベイルート、もう二度と
Beirut, Never More

監督:ジョスリーン・サアブ エキスト:エテル・アドナーン
レバノン/1976/英語、アラビア語、フランス語/カラー/デジタル・ファイル(オリジナル16mm)/36分

レバノン内戦により破壊された町の映像に作家・詩人であるエテル・アドナーンのテキストを重ね綴られる詩的/私的エッセイ映画。ベイルート三部作のうちの一つ。

ベイルートからの手紙
Letter from Beirut

監督:ジョスリーン・サアブ エキスト:エテル・アドナーン レバノン/1978/英語、アラビア語、フランス語/カラー/デジタル・ファイル(オリジナル16mm)/52分

内戦が日常となったベイルートの町の映像に作家・詩人であるエテル・アドナーンのテキストを重ねる。劇映画とドキュメンタリーが混在する詩的/私的エッセイ映画。ベイルート三部作のうちの一つ。

わが町、ベイルート
Beirut, My City

監督:ジョスリーン・サアブ エキスト:ロジェ・アサーフ レバノン/1982/フランス語/カラー/デジタル・ファイル(オリジナル16mm)/38分

爆撃で破壊された自宅の様子を報告するサアブのショッキングな映像から始まるベイルート3部作のうちの一つ。

騒乱のレバノン
Lebanon in Turmoil

監督:ジョスリーン・サアブ 取材:ヨルグ・ストックリン
レバノン/1975/フランス語、アラビア語/カラー/デジタル・ファイル(オリジナル16mm)/75分

レバノン内戦の主要人物たちが余すところなく登場する。記録としても貴重な作品。

昔々ベイルートで
Once Upon a Time in Beirut

監督:ジョスリーン・サアブ
レバノン、フランス、ドイツ/1994/ランス語、アラビア語、英語/カラー、モノクロ/35mm/104分

20歳の女性ヤスミンとレイラを主人公に、1910年〜70年代のベイルートを舞台にした約300本におよぶ古今東西のフッテージを再構成したサアブの代表作。映画史としても娯楽作品としても楽しめる。